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December 03, 2005

ジェフリー・ディーヴァー『獣たちの庭園』○

 オリンピック開催にわく1936年のベルリン。アメリカ選手団に混じって入国したニューヨークの殺し屋シューマンの使命はナチス高官暗殺。海軍情報部が電気椅子に座ることと引き替えに持ちかけた国家的任務だった。独自の信念から万全を期して臨むシューマン。だが現地工作員と接触する際のトラブルで、クリポ(刑事警察)に追われる身となる。
 CWAイアン・フレミング・スティール・ダガー賞受賞作。四肢麻痺探偵〈リンカーン・ライム〉シリーズの著者による歴史サスペンス。
 執筆準備に2年もかけたというだけのことはある。ヒトラー政権下のドイツのことがよくわかる。精緻を極めるとはこういうことを言うのだろう。だが、いかんせん話が暗いうえに長い。ドイツ語をあやつるタフな殺し屋シューマンはめったに笑わないタイプと思われる。救いといえば下宿屋の女ケーテとのラブロマンス(じつにそういう雰囲気なんです!)か。
 お得意の「どんでん返し」を堪能するには、巻頭の「主な登場人物」を参照しつつ、じわじわと丁寧に読むことをおすすめする。

★★★★(2005.11.19 白犬)

"Garden Of Beasts" by Jeffery Deaver 土屋晃・訳 文藝春秋/文春文庫 905円 4-16-770509-5

posted by Kuro : 00:02

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