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December 02, 2005

岡田尊司『誇大自己症候群』○

 普通の子が、ささいなことから凶悪事件を起こす。従来の精神医学ではとらえきれない病理を「誇大自己症候群」という切り口からさぐる。
 著者は精神科医。現在、京都医療少年院勤務。著書に『人格障害の時代』『自己愛型社会』など。また、自身の「心のエクササイズのために」小笠原慧の筆名で書いた小説『DZ』で第20回横溝正史賞受賞。小説は未読だが、そう言われてみれば新書らしからぬ筆つき。古今東西の実例の引用が巧みで、約250ページとボリュームたっぷりだが飽きずに読める。細かいデータを打ち並べてその解説に始終し、けっきょくなにも教えてくれない新書が少なくないなか、本書は克服のためのプロセスまできちんと押さえてあり、好感が持てる。読み応え満点の一冊。

★★★★(2005.11.22 白犬)

筑摩書房/ちくま新書 740円 4-480-06263-7

posted by Kuro : 17:55

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