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April 29, 2008

海堂尊『ブラックペアン1988』○

 初出「小説現代」2007年4月号〜8月号。映画化が決まった『チーム・バチスタの栄光』で第4回このミス大賞を受賞した現役医師作家、海堂尊の新作。バチスタシリーズの主要登場人物らの若かりし日々を描いた外伝でもある。
 これはこれは。バチスタの続編『ナイチンゲールの沈黙』があまりにもひどかったので、またぞろどんな悪ふざけが繰り広げられるかと思っていたら、至極まっとうなメディカルエンターテイメントでした。
 若き外科研修医の目で見た大学病院内部の人間模様。物語の舞台は1988年の東城大学医学部付属病院。総合外科学教室に講師として招かれた高階が推す手術器具導入をめぐる攻防に、教室の主宰者である佐伯教授と医局員渡海の過去の因縁がからむ。佐伯、高橋、渡海の医師としてのスタンスは三者三様で、それぞれに影響を受ける研修医の成長譚として読むこともできる。
 引き続きキャラクター造型が見事で、強い印象を残す。忘れっぽいことにかけてはちょいとばかり自信のあるわたしが、バチスタシリーズの登場人物をいちいち覚えているからおどろきだ。当たりはずれのはげしい書き手だが、次作おおいに期待。

★★★★(2007.10.28 白犬)

講談社 1600円978-4-06-214254-0

posted by Kuro : 23:49

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