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March 08, 2008

和田竜『のぼうの城』●

 2007.12.3初版、2008.2.26第三刷。評判がいいようです。
 新人の時代物はなかなか手がでないのですが、あちこちで褒められているので手にとってみました。
で、一気に読了。これは、おもしろい。もともとは映画のシナリオとして書いた「忍ぶの城」(城戸賞受賞)を小説化したものだそうだ(「PLAYBOY」08年4月号〈BOOK 著者に訊く〉欄)。たしかにそういわれてみると映画っぽい。しかしそんなことは抜きにしても、これは引き込まれる。無茶といえば無茶なんだが、愉快ゆかい。
 豊臣秀吉による天下統一前夜、小田原の北条攻めに際して、その支城・忍城を落とすことを命じられた石田三成。武功のない三成に簡単な城をとらせてやろうという秀吉の親心を意気に感じて張り切りまくりである。
 城を守るのはダメ城代“のぼう様”こと成田長親。同僚はおろか、農民たちにも小馬鹿にされている。こいつが、ひとくせもふたくせもある武将たちを、まとめるでもなく煽るでもなく、そうこうしているうちに、なんとなーくのほほんといくさが始まってしまう。
軽妙ながら、しんみりさせたりもする。正統派時代小説ファンには受け入れられるのかどうかわからないが、これはなかなか楽しい時代小説だ。
 しかもこれが史実だというから、笑える。
 石田三成も大変だったのね(笑)。いやいやこういう戦もあったんですなあ。知りませんでした。
 装画は『リストランテ・パラディーゾ』のオノ・ナツミ。

★★★★(2008.3.6 黒犬)

小学館 1500円 978-4-09-386196-0


posted by Kuro : 16:56

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トラックバック時刻: June 7, 2008 09:02 PM

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トラックバック時刻: June 13, 2008 04:19 AM

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トラックバック時刻: January 8, 2011 02:58 PM

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