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July 17, 2007
中島たい子『建てて、いい？』●○
2007.4.9初版。初出「群像」、表題作「建てて、いい？」は2006年12月号、「彼の宅急便」は2005年5月号。
帯におおきく〈独身女、家を建てる〉とあるが、まさにそのとおりのお話。独身女が家（マンション）を買うというのは過去にもあったが（斎藤綾子『欠陥住宅物語』とかね）、一軒家を“建てる”って話はなかったのではあるまいか。なんてったって注文建築だ。
この手の、身近な成長物語（まあ施主としての成長物語といっても許されるのではないかと）はディテールが充実していてほしいというのが個人的意見なのだが、その点ではちょっと物足りない。なにしろわずか150頁ほどだから、ダイジェスト気分にしかならないのだ。
そういう不満はあるし、建築士とのエピソードもありきたりだけれど、家を設計するにあたっての話し合いなど興味深いところも多い。
★★★（2007.6.2 黒犬）
初出「群像」。2004年に『漢方小説』ですばる文学賞を受賞した中島たい子の作品集。表題作と「彼の宅急便」の２編を収録。
四十までには結婚しよ――ひとり暮らしのアパートの階段で転んでみじめな思いをした35歳の真理はそう心に誓い、合コンやお見合いにいそしむがいまいちである。だが見合い相手の建築家とうちとけた話をしたことで、家を建てることを思いつく。
独身女が自力で家を建てるという、どこかで聞いたような話だが、資金や土地などのめんどくさい問題をうまく丸め込んで、主人公の内なる成長に焦点を定めたことで成功している。次作期待。もう少し長い作品希望。
★★★（2006.6.15 白犬）
講談社 1300円 978-4-06-213938-0
posted by Kuro : 00:58
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