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September 03, 2006
東野圭吾『赤い指』●○
2006.7.25初版。《直木賞受賞第一作》《書下ろし長編小説》と帯にある。そりゃいそいで読まねばなるまい。
しかし厳密には“書き下ろし”じゃないんだよな。「小説現代」99年2月号に掲載された「赤い指」（短篇なのか？）をもとに書き下ろされたらしい。雑誌掲載の「赤い指」を読んでいないのだから、それをどう「もと」にしたのかわからないのだが、しかし「書き下ろし」であろうことをセールスポイントにするのはどうかなと思った。ちょっと姑息な気がする。
そんなことはどうでもいいか。
倒叙形式の推理小説。犯人は最初に明らかにされる。そして犯人の家族によって隠蔽工作がなされる。警察はそれをどう暴くのか――というのがテーマ。
徹頭徹尾犯人に同情する気がまったく起こらない。『容疑者Ｘ〜』ならばまだ犯人（というか協力者）対探偵役の頭脳戦がはらはらさせたし、正直なところどちらを応援するかも微妙ではあった。しかしこの作品では、とにかくこの馬鹿をこらしめろ白状させろやっつけろと思うばかり。こんなのかばってやる必要ないじゃないか、と。最終的にもろもろを明らかにさせるのが、結局またしても（日本人好みの）情愛であるというのも、少々不満だったりする。
そんなわけで諸手を挙げて大絶賛とまではいかない。しかしもちろん東野圭吾だからはずれではないし、安心して読むことができる。古くからのファンであれば（俺もだが）、加賀刑事の私生活が垣間見ることができるというのも嬉しいおまけつき。
★★★☆（2006.8.1 黒犬）
『容疑者Ｘの献身』で第134回直木賞を受賞した東野圭吾の受賞第一作。ある家庭を襲った悪夢の二日間を描く書き下ろし長篇。
『容疑者Ｘの献身』と同じく、最初に事件の内容が明かされる倒叙もの。
前原昭夫は47歳の会社員。認知症の母親、姑の世話に倦みきっている妻、そしてゲームびたりの甘ったれた14歳の息子の４人家族。この甘ったれ息子が家に少女を連れ込んで殺してしまう。事情を問いただす両親を前に息子は「知らねえ、うるせえ、関係ねえだろう」と喚きちらし、そんな度し難い馬鹿息子を懸命にかばう妻は、死体をどこかに捨ててくるよう昭夫に頼み込む。
むろん犯罪のプロではないから、隠蔽工作は穴だらけである。たとえば死体を運ぶために「三ヶ月前に買った乾燥機の空き箱」なんか使っちゃいますからね、この人たちは。推理小説の一冊も読んだことないのか夫。ワイドショー見てないのか妻。ああ、いらいらいする。倒叙ものってどうしても犯人側に肩入れしてしまいますね。このド素人たちに刑事・加賀恭一郎がどう迫って行くのかは読んでのお楽しみ。結末を堪能するためにも丁寧に読むことをおすすめする。
★★★★（2006.8.5 白犬）
講談社 1500円 4-06-213526-4
posted by Kuro : 23:55
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» 赤い指（東野圭吾）★★★★ from juice78
赤い指 作者: 東野圭吾 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2006/07/25 メディア: 単行本 直木賞受賞第一作の書き下ろし長編ということで。そうか... [Read more...]
トラックバック時刻: September 4, 2006 12:49 AM
» 『赤い指』 東野氏にしては… from 粗製♪濫読
著者：東野圭吾
書名：赤い指
発行：講談社
書き下ろし度：★★★☆☆
直木賞受賞後第1作となる長編書き下ろし…だそうです。
＜中年サラリーマ... [Read more...]
トラックバック時刻: September 4, 2006 07:14 AM
» 東野圭吾【赤い指】 from ぱんどら日記
なかば怒りながら読んでいた。（でも最後のほうはほんの少し泣いた）
全270ページ、陰陰滅滅、重苦しいマイナスの磁場がはたらいている。老人介護の問題とか、ひ... [Read more...]
トラックバック時刻: September 4, 2006 03:27 PM
» 赤い指＜東野圭吾＞−（本：2007年25冊目）− from デコ親父はいつも減量中
講談社 (2006/7/25)
ISBN-10: 4062135264
評価：90点
んー、うまい。
「引きこもり」「少年犯罪」「親の介護」「認... [Read more...]
トラックバック時刻: March 8, 2007 12:20 AM
» 赤い指 東野圭吾 from "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!
赤い指
この本はどくしょるーむのia.さんにオススメしてもらいました。ありがとうございました！
■やぎっちょ書評
加賀刑事モノの最新作。いきなり加賀父... [Read more...]
トラックバック時刻: April 29, 2007 05:42 PM
» 『赤い指』 東野 圭吾 講談社 from みかんのReading Diary♪
赤い指
犯罪を越えたその先に、本当の闇がある。
二日間の悪夢と、孤独な愛情の物語。
直木賞受賞後第一作で、『放課後』から数えて６０作目の作品... [Read more...]
トラックバック時刻: June 6, 2007 09:28 PM
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