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September 10, 2006

荻原浩『あの日にドライブ』●

 2005.10.25初版。「小説宝石」05年6月号〜10月号の連載を再構成、加筆訂正。
『明日の記憶』などのヒットを飛ばしている著者の長篇。主人公は元銀行員のタクシー運転手。上司に逆らい銀行を辞めた牧村伸郎は、再就職を決めるまでの一時しのぎにタクシー会社に就職する。なれない運転手仕事は一向に成績もあがらず、かといって再就職のあてもない。家庭でも疎まれ、八方ふさがりの牧村は、学生時代のアパートや当時つきあっていた彼女の実家などを訪ねてまわることに――。
 いやあ、はずれでした。つまんねー。なんのカタルシスもありません。主人公のうじうじ加減にもうんざりする。まあ荻原浩だから、普段ちゃらんぽらんな同僚運転手が実は、とか、家族だって本当は主人公のことを、とか、こまかい仕掛けや“感動”は用意してあるのだけれど、そんなんじゃ全然満足できない。主人公に肩入れできないのが、なんともね。自分で選んだ道なのにあれこれ愚痴っちゃってさ、たぶんこういう人はどんな道を選んでも後悔ばっかりだと思います。

★☆(2006.9.8 黒犬)

光文社 1500円 4-334-92472-7

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posted by Kuro : 15:09

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