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September 13, 2006

歌野晶午『女王様と私』●

 2005.8.31初版、10.10第二刷。初出「野生時代」05年4月号〜6月号。
 ええ、『葉桜の季節に君を想うということ』の歌野晶午の新作(だったもの)を今頃読みましたよ。なんか手が出なかったもんでね。『葉桜』は爽快なヤラレタ感がありましたので、まあ期待もしておりましたし、じっくり読もうと。結局そんなにじっくり本を読むことなんかないんですが。
 あー、なんの話でしたかな。
 感想? ああそうね、感想ね。うん。いや『葉桜』はおもしろかったねえ。楽しかった。実に。え、『女王様』? ああ、まあ、ねえ。主人公はひきこもりですね。こもってないか。ニートか。ああでもニートの定義からははずれるのか。よくわからんがね、ようするに無職だ。男だ。オタクだ。
 うーむ。つまんなかったといって投げ捨ててしまうほどではない。オタクの生態も身勝手さもよく書けているのではないかと思う。知らないけど。
 で、この本のキモとでもいうべき部分。まあそれが絶対ナシだろとまでは言わない。遥か昔に大好きな某作品の単行本がこんなようなオチだった。それを知って愕然とした記憶がある(文庫では結末が変わっていたのだが)。ただ、この作品でそれをやっちゃうと、要するに娯楽性の部分――連続殺人事件の犯人捜しやその真相――がすべてかよってことになっちゃう。ってなんだよと。そうするととても徒労感をおぼえるわけです。あほらしいぞと。
 のが今回のトリックなわけだが、どうも受け手としては消化不良なのであった。見返しに印刷されたコマカイ台詞とか章タイトルとか、いろいろ凝ってるんですけどね。
 ま、そんなわけで『あの日にドライブ』にひきつづき期待はずれだったというわけです(読んだのはこっちのほうが先だけど)。そういうこともあるわな。

★★(2006.9.5 黒犬)

角川書店 1600円 4-04-873628-0

posted by Kuro : 22:52

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