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February 10, 2006

東野圭吾『容疑者Xの献身』○

 初出「オール讀物」2003年6月号〜2005年1月号。「容疑者X」改題。
 かつて天才とまで呼ばれた数学教師、石神哲哉。彼はアパートの隣室に住む花岡靖子にひとかたならぬ思いを寄せている。ある夜、靖子は一人娘の美里とともに金をせびりに来た元夫を殺してしまう。様子を見に来た石神に靖子は苦しい言い訳をするが、彼はなにもかもお見通しだった。
 草薙・湯川シリーズでもあるらしいですが、すいません『探偵ガリレオ』未読です。
 天才的な頭脳を持つ男が、好きな女のために殺人事件の隠蔽工作をするという話。母娘がやみくもに石神の指示に従うように、読者にも彼の意図は明かされない。その論理的思考にせまることができるのは、例によって都合よく石神と大学の同窓だったガリレオ先生こと湯川学。湯川は捜査にあたる草薙刑事に助言する一方で、旧友石神の真意を探り始める。湯川は石神に問う。

「人に解けない問題を作るのと、その問題を解くのとでは、どちらが難しいか」(p.148)

 この互いに認め合う学究肌同士の対決にはシビれた。一気読み必至。理数系じゃない人もぜひ。
 さて内容はともかく。つや消しの黒に赤のシンプルなデザインのカバーはなかなかおしゃれだが、手の脂の跡が残ってしまうのが気になる。なんとかしてください。

★★★★☆(2005.10.2 白犬)

文藝春秋 1600円 4-16-323860-3

posted by Kuro : 23:37

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