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October 31, 2005

平安寿子『くうねるところすむところ』○●

　上司との不倫に疲れ、仕事もどんづまりの梨央は、30歳の誕生日の日の夜、酔っぱらって入り込んだ建設現場で鳶職の徹男に出会う。翌日、彼をさがして訪ねた工務店では女社長の郷子がぶち切れ寸前。思いがけない事情から人の家を建てる仕事に就いた30歳と45歳の女。二人が悪戦苦闘しながら必死でさぐるのは、明日を生きるための手がかり。
『グッドラックららばい』（講談社刊・文庫版もあり）がよかったので読んでみた。が、わたしはこういう鼻息の荒い女の人たちの話はどうにも苦手で、残念ながらあまり楽しめなかった。ＮＨＫの連続テレビ小説の女主人公に感じる痛さと相通じるものがある。すっきり読めるかどうかは好みの問題だろう。次作期待。

★★★☆（2005.6.12　白犬）

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　2005.5.30初版。初出「別册文藝春秋」2004年1、3、5、7、9月号。と書くと隔月連載のようですが、「別册文藝春秋」は隔月刊なので要するに5回連載。どうでもいいですねそんなことは。
　さて読んだのはずいぶん前なのだが、感想を書くのを忘れていた。なんかいまいちだったんだもん。面白くなる要素はたくさんあるんだけどなあ。
　30歳独身の主人公梨央が不倫を精算して退職し、工務店に転職をする。なんで工務店かといえば酔ったときに出会ったステキな鳶職人と再会したいから。しかしその工務店には一筋縄でいかない連中が揃っていて……。
　思いつきとはずみでガテンな世界に飛び込む（見ようによってはかなり鬱陶しい）女主人公が、異世界で成長しつつ活躍するという、ありきたりのパターンではある（『県庁の星』もこれですな）。しかし問題なのはそこではない。異世界異文化異業種モノは読み手の知らない世界であればあるほど発見も多く、楽しめるのだ。
　この小説にはもうひとりの女主人公がいる。工務店の女社長だ。こっちは夫に逃げられ望まずして社長の座についているという郷子。噛み合わないふたりがいつか信頼しあうようになって……とこれまたよくあるパターン。うーむ。どうもいかんなあ。ありきたりがいくつも重なっていくと、陳腐な物語にしかならないんだよなあ。
　つまらないわけではない。住宅建設事情もそれなりに興味深い。ただ、もうちょっとおもしろくできたんじゃないか、と思ってしまうのだ。梨央の転職や郷子の社長就任などの導入部を半分ぐらいに切りつめて、その分、本線上の、それこそ現場に密着したエピソードを増やすとか。どうも盛り上がりに欠けるんだよね。残念。

★★☆（2005.7.1　黒犬）

文藝春秋　1667円　4-16-323990-1

posted by Kuro : 01:22

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トラックバック時刻: October 31, 2005 06:56 AM

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投稿者 ましろ : October 31, 2005 11:34 AM

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