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October 30, 2005

篠田節子『ロズウェルなんか知らない』○

 初出「小説現代」2003年11月号〜2005年5月号。
 2030年には人口ゼロという推計が出ている過疎の町、駒木野。首都圏からもっとも近いスキー場は新幹線と高速道の開通で閉鎖に追い込まれ、スキー客がもたらす観光収入を失った町は生き残りのための道を模索している。そんな中、村おこしイベントのひとつ、流星観察ツアーの参加者たちがUFOを目撃。その情報はたちまちネット上に出回り、マニアがやって来るようになる。売るか、日本の四次元地帯で――町の起死回生をかけ、「いきいき駒木野青年クラブ」のメンバーが立ち上がる。
 子供に太鼓を叩かせたり、よそのお祭りをパクってみたり。村おこしとか地域おこしだとか、「おこし」のつくものを見聞きするたびにいらいらしてしまうが、なんでそこまでしてやらなきゃならないのか、またなんでそんなことになっちゃうのか、本書のおかげでよくわかった。パロディになってないのがふしぎなくらいの愉快な作品。ただ、長い。480余ページを読み通すにはかなりの根性が必要だった。たいくつな秋の夜長向き。とくに「おこし」関係者におすすめ。

★★★★(2005.9.4 白犬)

講談社 1700円 4-06-213006-8

posted by Kuro : 23:58

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ロズウェルなんか知らない篠田 節子 講談社 2005-07-06by G-Tools このままいけば、2030年に人口が0になってしまう、という過疎の町駒木... [Read more...]

トラックバック時刻: October 31, 2005 01:11 AM

comments

TBありがとうございました。
実在する「UFOの里」のリンク、ツボでした。
笑ってしまうのは申し訳ないんですけど、
この本を読んだ後だと…どうしても笑えてしまいました。
ご紹介、感謝です。
では。

投稿者 ゆうき : October 31, 2005 01:13 AM

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