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April 30, 2005

東野圭吾『黒笑小説』●○

 2005.4.30初版。初出「小説すばる」99年から04年あたり。『怪笑小説』『毒笑小説』につづくユーモア短篇集第三弾。13篇収録。
 文壇諧謔モノと珍妙現象モノ(ややSF&艶笑テイスト)と普通のユーモア系の3系統がある。文壇系が「もうひとつの助走」「線香花火」「過去の人」「選考会」、珍妙系が「巨乳妄想症候群」「インポグラ」「みえすぎ」「モテモテ・スプレー」、ユーモア系が「シンデレラ白夜行」「ストーカー入門」「臨界家族」「笑わない男」「奇跡の一枚」。カバー(“某文学賞の選考結果を編集者と待つ著者”の写真。ありえねー)などから、文壇系がもっと多いのかと思っていたら、そうでもなかった。期待してたんだけどな。
 でも面白かったのは、ふつうのユーモア路線の「ストーカー入門」や「奇跡の一枚」(しんみりした後味がなかなかよい)だったりする。
 今さらながら、重厚路線(『白夜行』『幻夜』などの)もよく、かつ短篇もちゃんと軽快に面白いというのは貴重な作家だなあと思う次第。

★★★(2005.4.26 黒犬)


 初出「小説すばる」1999年7月号〜2005年4月号。
 偉そうな顔をしていても作家だって俗物根性丸出し――俗物作家東野がヤケクソで描く文壇事情など13の黒い笑い。
 いわゆる「文壇」を皮肉った短編集だと思っていたら、そうじゃない作品のほうが多かった。 文壇方面はどれも、軽薄でこすからい編集者vs.尊大だがじつはみみっちい作家といったかんじで大差なし。ふつうの(とでもいうか)ユーモア系の作品をおもしろく読んだ。
 別れたはずの彼女にストーカー行為を強要される『ストーカー入門』いい。あと、わきの下にふりかけるだけで相手をその気にさせる『モテモテ・スプレー』には笑いました。

★★★☆(2005.5.26 白犬)

集英社 1600円 4-08-774754-9

posted by Kuro : 16:33

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