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March 21, 2005

栗田有起『オテル モル』○

 初出「すばる」2004年6月号。第131回芥川賞候補作。ちなみに同回の受賞作はモブ・ノリオ「介護入門」。栗田作品は第129回でも「お縫い子テルミー」が候補に挙がったが、吉村萬壱「ハリガネムシ」に敗れている。
 チェックイン日没後、チェックアウト日の出まで。最高の眠りを提供するホテル〈オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン〉に就職した23歳の女の子の物語。いっぷう変わっているとはいえ、全99室、稼働率99%というたいそうなホテルである。未経験の若い人にフロント業務いっさいを任せるというのはどうかなどと考えはするが、ファンタジーだと思って読めばさほど気にもならぬ。
 登場人物もそれぞれに魅力的で、眠気の心地よさを感じながら気持ちよく読めた。次作期待。

★★★☆(2005.3.2 白犬)

集英社 1500円 4-08-774746-8

posted by Kuro : 00:28

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comments

こんにちは。
トラックバックありがとうございました。
栗田さんは、芥川賞の候補になっていたのですね。
全く知らずに読んでいました。
「オテル モル」が予想外に面白かったので、
他の作品も読んでみようと思っております。

投稿者 ましろ : July 30, 2005 04:14 PM

ましろさま、こんにちは。

黒犬でございます。わたしも(感想は書いてませんが)「オテル モル」を読んでけっこう感心しました。で、デビュー作「ハミザベス」と「お縫い子テルミー」も読んでみました。
なんだか不思議な世界を持っている作家だなあと感じました。一歩まちがえばとても乙女チックというか、痛いことになってもおかしくはないんでしょうが、うまくそれを切り抜けて、世界観を確立しているような……。

投稿者 黒犬 : September 12, 2005 11:26 PM

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