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October 15, 2007
金城一紀『映画篇』○
日本の普通高校に通う在日韓国人三世の生活と葛藤を描いた『GO』で第123回直木賞を受賞した金城一紀の書き下ろし小説集。「太陽がいっぱい」「ドラゴン怒りの鉄拳」「恋のためらい/フランキーとジョニー もしくは トゥルーロマンス」「ペイルライダー」「愛の泉」の5編を収録。「ローマの休日 上映会」というひとつのエピソードに集束される連作仕立てなのだが、各編、あちこちに発表した作品を寄せ集めてきたのではないのかと思えるくらい毛色のちがう仕上がりとなっている。
最終話「愛の泉」は、上映会そのものを描いた作品。他編の登場人物をカメオ出演させたりして。好きだなあ、こういう大団円。満場の来場者ひとりひとりに、上映会に足を運ぶにいたったドラマがあると思わずにはいられない。
全編甲乙つけがたいが、まことに愛らしい「愛の泉」と、デモーニッシュな味わいの「ペイルライダー」がとくに印象に残った。
★★★★☆(2007.8.27 白犬)
集英社 1400円 978-4-08-775380-6
- 集英社:金城一紀『映画篇』期間限定公式サイト(9/30までになっていますがまだみられるようです。急げ急げ)
- 駄犬堂書店本店・金城一紀の棚
posted by Kuro : 03:02
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