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September 01, 2007

森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』○●

 第20回山本周五郎賞受賞作。初出「野生時代」。2003年に『太陽の塔』で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビューした京大OBの“鬼才”による長編恋愛小説。メジャー週刊誌ならびに書評雑誌をはじめ、テレビでも取り上げられるなど前評判も上々で、例によって「2007年本屋大賞」にノミネートされたが、佐藤多佳子の陸上小説に敗れ次点。
 う〜ん。どうしたものか。京都の某国立大学に通う〈私〉がクラブの後輩で片思いの相手の〈黒髪の乙女〉をひそかにつけ回すうちに遭遇する奇想天外な人々や出来事。独特の「諧謔味あふれる古風な文体」で書かれており、それ自体は好ましいのだが、まったく乗り切れないままショボショボと読了。
 ようするにわたしは「ステキな天然キャラの女の子」というやつがダメなのだ。かわいくて、はかなげで、決して男に脅威を与えない永遠の妹。そういうのがちょっと意地を出してがんばっちゃう。で、「おともだちパンチ」なわけです。ふるいたくない鉄拳を敢えてふるわなければならぬ時の女のたしなみ。招き猫の手のような愛らしさ湛えた拳による愛のあるパンチ――みんなこういうのに萌えたりするんだろうか。本書はわたしのようなヤサグレ読者には向かないです。すいません。それにしたって大森望氏は身びいきがすぎるのではないのか。京都在住者、京都大学出身者および京都ファン向け。

★★★(2007.4.4 白犬)


 わたしはけっこう好きでした。夜の京都を飲み歩いてみたい。

★★★★(2007.1.24 黒犬)

角川書店 1500円 4-04-873744-9


posted by Kuro : 23:31

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