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May 25, 2007

山田詠美『無銭優雅』○●

 幻冬舎創立13周年記念特別作品。中央線沿線に住む中年男女の恋を描く山田詠美4年ぶりの書き下ろし長編。
 うう……ごめんなさい。わたしこの話だめです。主人公の慈雨が42歳でその恋人栄が45歳という設定にはとくにおどろかないが、この二人のありようが痛い。カユい。イタガユい。慈雨が嬢ちゃんばあちゃんまっしぐらなら、栄はさしづめ父ちゃん坊やか。すいません、もうおなかいっぱい。じぶんがかな〜り俗っぽいということがよくわかった。サトウのメンチカツとか小ざさの羊羹だとか聞いてピンとくる人向け。

★★★☆(2007.3.3 白犬)


 2007.1.31初版。書き下ろし中年恋愛小説。
 42歳の慈雨と45歳の栄。花屋を共同経営する女と予備校講師の男。中年になったって恋にはおちるし、中年になったって――心中や委託殺人には至らなくとも(笑)――喧嘩もすれば仲違いもする。一般的な夫婦間よりも、もっと真摯でもっと熱烈なのです、という主張なのかもしれません。まあ実際のところ、婚姻関係にあるかないかと愛情の強さ弱さにはあまり関係ないような気がしますけどね。こんな恋愛もまたよろしかろう。
 それより楽しんだのが、本文に挿入された「風立ちぬ」「外科室」「あすなろ物語」その他全部で20冊あまりからの引用。いや、効果があるのか、意味があるのか、そこらへんはわからない。なくても支障はないだろう。ただまあ既読・未読を問わず(どうせ全部忘れてるから未読本と同じだ)、へえこんなフレーズがあるのか、この台詞ちょっといいねえ、みたいな箸休めにはなりました。

★★★★(2007.3.25 黒犬)

幻冬舎 1400円 978-4-344-01284-4

posted by Kuro : 02:06

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