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May 22, 2007

レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』○

 というわけで新訳が出たのを機に旧訳を読んでみた。大昔に読んだ覚えはあるが、例によってきれいさっぱり忘れているし、本じたいもすでに手もとにないので新たに購入。奥付に2006年6月30日第67刷とある。
 読みやすさからいけば清水訳のほうが上であろう。さほど古びた感じはしないし、明快でスピード感がある。フィリップ・マーロウが関わる“事件”の構造や人間関係がくっきりと浮かびあがってくる。おかげで新訳での勘違いを正してもらった部分がいくつかある。だけども、ジャンルや文体云々を無視して、純粋に日々の読み物として考えれば、わたしは村上訳のほうにより愛着を感じる。宇宙旅行をするのにどちらか一冊持ってってよいと言われれば、迷わず村上訳を選ぶだろう。これはたんに好みの問題である。
 なお、新旧訳を比較・分析したものとしては「小説すばる」2007年6月号の「『ロング・グッドバイ』翻訳比較座談会」(田口俊樹×佐々田雅子×三川基好/聞き手:池上冬樹)を興味深く読んだ。

★★★★★(2007.4.13 白犬)

"The Long Goodbye" by Raymond Chandler 清水俊二・訳 早川書房/ハヤカワ文庫HM 840円 978-4-15-070451-3

posted by Kuro : 00:22

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