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May 20, 2007
円地文子・佐藤愛子・瀬戸内寂聴・田辺聖子『私の履歴書 女流作家』○
ご存じ、日本経済新聞朝刊の名物連載「私の履歴書」をジャンル別にまとめてシリーズ化した本。いま「女流」という言葉が堂々と使われているのは将棋界くらいなものじゃなかろうか。
とくに田辺聖子氏についてはNHKの連続テレビ小説「芋たこなんきん」が記憶に新しいこともあるし、ほかのお三方の“私生活”についても田辺氏同様、自伝(的)小説やエッセイなどで繰り返し語られているわけだが、こうして同じフォーマットになったものを同時に読むとまた興味深い。この戦前生まれの四人にとって、創作活動が自己実現なんていうナマっちろいモノではなく、まず自立・自活への道であったことに改めて気づかされる。それぞれに文学に目を向ける余裕のある家庭に育ち、高い教育を受けたという下地があったとはいえ、後に当時の文壇に影響を与えた作品群は、安穏とはほど遠い、とめどもない家庭生活のなかから生み出されていったのである。
同シリーズではほかに「中間小説の黄金時代」「第三の新人」と題した男性作家のくくりもあるから、本書と読み比べてみるのもおもしろいだろう。
★★★★(2007.4.10 白犬)
日本経済新聞出版社/日経ビジネス人文庫 1300円 978-4-532-19392-8
posted by Kuro : 00:11
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