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March 23, 2007

松尾由美『九月の恋と出会うまで』●

 2007.2.20初版。書き下ろし時間SFミステリー恋愛小説。
 27歳のOL北村志織はよんどころない事情で住まいを引っ越すことになってしまった。ようやく探し当てた小規模マンションには奇妙な住人――芸術家もしくは恵まれない半芸術家――チェリスト、外科医、会社員、OL――ばかり。奇妙なのはそれだけではなく、ある日エアコンのダクトからなんと人の声が聞こえてくる。その声の主は自分が1年後の世界にいい、志織に奇妙な依頼をする。1年後の未来から話しかけてきた男は、いったい志織になにをさせようというのか――。
 謎だらけで魅力的な設定。時をへだててやりとりをするというのは映画の『イルマーレ』(どこの国の映画だよという邦題だがアメリカ映画。原題は“Lake House”)のようだが、あちらは手紙、こちらは声。
 平野とシラノ・ド・ベルジュラックの駄洒落はいかがなものか、とも思うが(そこまで説明的・暗喩的でないといかんのか)、全体的にはよくできた佳品。

★★★★(2007.3.22 黒犬)

新潮社 1400円 978-4-10-473302-6

posted by Kuro : 23:35

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トラックバック時刻: June 17, 2007 12:43 AM

comments

 こんにちは♪
 TBどうもありがとうございました。

 「イルマーレ」も時を隔ててやりとりするんですね。
 観てみたくなりました☆

投稿者 miyukichi : June 17, 2007 02:15 PM

miyukichiさん、コメントありがとうございます。
私も実はまだ見ていないのです(予告編だけみた印象で書きました、あはは)が、機会があったら見てみたいものです。あれって元々は韓国映画だったのですね。湖のほとりなのに「イルマーレ」って変だなあと思ったのですが、韓国映画のほうはちゃんと海辺の家だったようです。って全然本と関係ない話でスミマセン(笑)。

公式サイトがありました。
http://thelakehousemovie.warnerbros.com/

投稿者 黒犬 : June 18, 2007 12:57 AM

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