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December 08, 2006

川上弘美『真鶴』○

 初出「文學界」2005年2月号〜2006年5月号。
 13年前に失踪した夫の日記に残されていた「真鶴」の文字。そのただひとつの手がかりである土地に通う女の心情と日常を描く。
 実母と思春期の娘とのおだやかな暮らしと恋人をも得てなお、夫の影を追い続ける小説家の京。現実には存在しない「ついてくるもの」に導かれ、彼岸の縁をさまよう女がさいごに見るものはなにか。これは純文学の形式をかりたミステリーだ。わたしは本作に芥川賞受賞作の『蛇を踏む』を思う。近年のチャラい作品群がウソのようである。川上弘美の復活、というかんじがする。お見事。

★★★★★(2006.11.24 白犬)

文藝春秋 1429円 4-16-324860-9

posted by Kuro : 18:22

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ひらがなの多い文章。ちょっと読みにくい。 たとえば、 ≪ 真鶴の夜の海の、さざなみのたつおもてに、燃えさかる船はしずんでいった。 ≫ ... [Read more...]

トラックバック時刻: December 18, 2006 02:03 PM

» 真鶴 川上弘美 from 粋な提案
装丁は大久保明子。装画は高島野十郎「すもも」(画像との違いは文末で補足)。 「文学界」2005年2月号から2006年5月号初出。 主人公で語り手の柳... [Read more...]

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