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July 01, 2006

金井美恵子『目白雑録2』○

 タイトルは「ひびのあれこれ」と読みます。初出「一冊の本」2004年5月号〜2006年4月号。金井美恵子の痛快エッセイ集第2弾。
 一冊目の宣伝文句では「馬鹿と闘う小説家・金井美恵子」だったのが、今回は「華麗なドリブラー・金井美恵子」であることからもわかるように、先生、意外なくらいのサッカー好き。収録されているのは2006年4月までの連載分なので、W杯ドイツ大会(の結果)については第3弾を待つしかないが、その前報道を「ほとんど戦時下報道の冷静さをまったく欠いたナショナリズムと欠点には眼をふさぐ自己規制としか思えない有様」と批評した2006年2月の「フット!」から引いておく。テレビのW杯予想番組について書かれた部分で、元日本代表選手ら出演者のなかでただひとり冷静なセルジオ越後を評価したうえで、こう述べておられる。

 一次予選の試合日程が、オーストラリア、クロアチア、ブラジルの順になったのは幸運だ、オーストラリアなら勝てるから精神的にダメージを受けずに勢いに乗れるし、三戦目でブラジルとやる時は“相手は疲れている”と彼等は言うのだが、これは、ほとんどのメディアの考え方と同じで、こういうのを、私はヘディング・ドランカーと言う。
 セルジオは負けてもともとのブラジルに負けても落ち込む必要はないのだから、初戦ブラジルに負けて後はのびのびやればいい、と発言していたが、ほとんどの「男」というものは、それが何であるにしても、こういうやり方を好まないらしいのだ。最初に手ひどく負けると、持つ必要もないプライドがズタズタになってインポになると信じているらしく、いじけた強がりを言うのである(p.199)

 けっきょく日本はオーストラリアに1-3で敗れ、クロアチアとは0-0で分け、王者ブラジルに1-4で完敗し1次予選敗退という結果に終わった。第3弾が待ち遠しいが、また4年後になるとしたら、その頃は南アフリカ大会でもりあがっていることでしょう。

★★★★★(2006.6.15 白犬)

朝日新聞社 1500円 4-02-250194-4

posted by Kuro : 03:36

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