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May 29, 2006
浅田次郎『お腹召しませ』○
初出「中央公論」。入婿の不始末で腹を切ることになった江戸詰藩士を描く表題作ほか、幕末から維新を生きた武士たちを描く全6篇。いやあもう、どれも掛け値なしのおもしろさ。謎のしきたり“斜籠”をめぐる「安藝守様御難事」など何度読んでも笑える。というか何度も読んじゃった。子供みたいに。
すべて語り手が祖父にきいた昔話をもとに創作した物語という体裁で、多くの人に読まれる小説として成立させるために史実にそむいている部分も多くある旨、作者自身が巻末の「跋記」で述べている。世の中には、たとえばNHKの大河ドラマが始まると必ず「史実と違う」とか「あの時代にはあり得ない」とかなんとかイチャモンをつける向きがあるが、そういう人は歴史の教科書でも読んでればよろしい。いやだねえエラそうに知ったかぶっちゃってサ。べろべろばあだ。いいんです。おもしろければ。1500円はまったくもってお買い得。
★★★★★(2006.3.10 白犬)
中央公論新社 1500円 4-12-003700-2
posted by Kuro : 01:33
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トラックバック時刻: October 27, 2006 06:47 AM
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お腹召しませ
出版社: 中央公論新社 (2006/02)
ISBN-10: 4120037002
評価:78点
時代小説短編集。
「五郎治... [Read more...]
トラックバック時刻: June 28, 2008 11:35 PM
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