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May 09, 2006

ハーラン・コーベン『ノー・セカンドチャンス(上・下)』●○

 2005.9.13初版。あー、「ノー・セカンドチャンス」って気持ち悪いよー。語ごとに中黒を入れるなら「ノー・セカンド・チャンス」だろー。原題がそうなんだから。まあどうでもいいが。
 どうでもいいついでに、ランダムハウス講談社のこの文庫シリーズ、「ランダムハウス講談社文庫」とかいうのか? どこにも文庫名がないようなんだが。なくてもいいけどさ。でも文庫ってついていれば判型もわかりやすいのでRHK文庫でもなんでもいいから愛称をつけるといいと思うよ。
 まあそれはさておき。ハーラン・コーベンの単発サスペンスであります。原著は2003年。
 形成外科医のマークが自宅で銃撃された。意識を取り戻したのは12日後のことだった。妻は殺され、生後六ヶ月の娘は行方不明になっていた――。
 いきなりショッキングな出だしで少々たじろぎますが、これくらいじゃないと牽引力が足りないかも。どうも現実離れしすぎていて(小説なのだから当然ですが)。そのわりには、“隠されていた真相”というのもありきたりだし、展開も主人公に都合よすぎるよなあ、という感じ。
 楽しいんですけどね。充分楽しめますし、最後のまとめかたは好きなんですが……。

★★★(2006.1.25 黒犬)


 形成外科医のマーク・サイドマンは、ある朝、自宅で撃たれ危篤状態に陥る。12日後に意識を取り戻した彼は、妻が殺され、生後半年の娘が行方不明になっていることを知る。回復を待たずに退院し娘を探し出そうとした矢先、娘を誘拐したという人物から身代金を要求する文書が舞い込む。
 ハーラン・コーベンのノンシリーズ長篇3作目。ミステリチャンネル「闘うベストテン2005」7位、IN★POCKET「翻訳家&評論家が選んだ文庫翻訳ミステリー」13位。7位、13位とは微妙だが、ファンにとっては納得のポジションなのかも。
 謎が謎を呼ぶジェットコースターサスペンス。殺された妻の父が大金持ちで身代金には困らないし、主人公の元恋人が元FBI捜査官のスーパーレディで、合理的な説明はあるにしろ、命を賭してまで元カレに協力したりもするけども、サスペンスはこうでなくっちゃね。読み出したが最後、ページを繰る手が止まらない。春の行楽のおともに。

★★★★☆(2006.2.16 白犬)

"No Second Chance" by Harlan Coben 山本やよい・訳 ランダムハウス講談社(文庫)
 上750・下780円 4-270-10005-24-270-10006-0

posted by Kuro : 01:36

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今月創刊のランダムハウス講談社文庫。今までの講談社の翻訳作品がアメリカのベストセラー系ミステリばっかりだったのに対して、こちらはわりと作品に幅のあるラインナッ... [Read more...]

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comments

はじめまして。
トラバありがとうございます。わたしからも送ってみましたが、よく仕組みを理解してないので送れてるかどうか……。
ハーラン・コーベンの作品って、勢いで読めるけどちょっと違和感のこる部分ありますよね。次こそは!と期待したいところです。
これからもときどきのぞかせてもらいますね。

投稿者 juice78 : May 16, 2006 03:21 AM

juice78さま
コメントとトラックバックをありがとうございました。
コーベンはアメリカの娯楽小説(大衆サスペンス?)の王道なんだろうなと思っています。決して悪い意味ではなくて。
なによりもまず、いろんな謎や次から次へと起こる事件で読者をあたふたさせて引きずり込むというか。無茶だよそれ(苦笑)、と思うことがないわけではないですが、でも楽しめますもんね。次が楽しみな作家のひとりです。
今後ともよろしくお願いします。

投稿者 黒犬 : May 16, 2006 02:50 PM

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