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April 21, 2006

筒井康隆『銀齢の果て』○

 初出「小説新潮」2005年1月号〜10月号。
 爆発的に増大した老人人口を調節し、ひとりが平均7人の老人を養わねばならぬという若者の負担を軽減し、それによって破綻寸前の国民年金制度を維持し、同時に少子化を相対的に解消する老人相互処刑制度――シルバー・バトルがついに始まった! バトルは厚労省の中央人口調節機構が定めた地区別に行われ、和菓子屋の隠居、九一郎の住む宮脇町には元自衛官、元プロレスラー、神父、幼なじみなど「強敵」がひしめいていた。老人であることは悪なのか? 21世紀最大の禁断の問いをめぐる筒井康隆の《老人迫害》小説。
 著者自身が70歳になったので大いばりで書いたそうです。そりゃそうでしょうね。やりにくいったらありゃしない。老人に「わたしほら、もう棺桶に片足突っ込んでますから」と言われたときみたいな気分とでもいうか。ぜひ老人読者の感想を聞いてみたい。このユーモアを理解する老人なら、お友だちになってもいいですよわたしは。
 山藤章二氏による登場人物41人の挿絵、作詞・筒井康隆、曲・山下洋輔の「葬いのボサ・ノバ」楽譜つき。「葬いのボサ・ノバ」は、うちに楽器があればぜひ演奏してみましょう。そして歌いましょう。2、3日は耳について離れないこと請け合い。

★★★★☆(2006.2.10 白犬)

新潮社 1500円 4-10-314528-5

posted by Kuro : 01:47

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