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April 09, 2006
松尾由美『おせっかい』●
2006.3.1初版。単行本は2000年7月幻冬舎刊。ホラーというかダークファンタジーというか、なんともジャンルわけがしにくい作品。カバーには《不思議感覚ミステリ》とあるが、ミステリーかなあ。
さえないサラリーマンである主人公・繁は、入院中にたまたま読んだ連載ミステリーの女主人公に惹きつけられる。小説世界の彼女が危険な仕事を薄給でこなしている(刑事なのである)というのに、それを書いている作家はそれより遥かに上回る収入を得ている。それは不当である、と考える繁は、いつしか小説世界に迷い込んでいく。
そういう考え方ってどうなんでしょ、いちおう病院にいったほうがいいのではないでしょうか、とも思うが、なんとなく“そういうもの”として物語は展開していく。繁に妙に肩入れをしてくる若いカップルも巻き込んで、事件は思わぬ方向へ……。
現実(といっても小説なわけだが)と作中作とがからまりあい、最初のうちは少々とまどうが、話がみえてくれば大丈夫。すいすいいける。しかしあまり意外性のない終わり方だったなあ。尻すぼみの印象。
★★★(2006.3.31 黒犬)
新潮社/新潮文庫 590円 4-10-128051-7
posted by Kuro : 14:49
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雑誌の連載小説に登場する女性刑事に熱い思いを抱き、
不思議な浮遊感とともに小説の中へ
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自分の小説の中に闖... [Read more...]
トラックバック時刻: April 17, 2006 03:36 PM
comments
初めまして、marin☆です。
TBしていただいていたのにご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。
>そういう考え方ってどうなんでしょ、いちおう病院にいったほうがいいのではないでしょうか
同感です(笑)
なんか、どうしてそんな風に思い込んでしまうのか、
そんな主人公に若い二人がなんでそこまで協力するのか、全然理解できませんでした。。。
初めまして、marin☆です。
TBしていただいていたのにご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。
>そういう考え方ってどうなんでしょ、いちおう病院にいったほうがいいのではないでしょうか
同感です(笑)
なんか、どうしてそんな風に思い込んでしまうのか、
そんな主人公に若い二人がなんでそこまで協力するのか、全然理解できませんでした。。。
投稿者 marin☆ : April 17, 2006 03:40 PM
marin☆さま、こんにちは。
なんだか素材は新鮮なのに、料理の仕方を間違えたというような(いやいや優秀なコックさんですから、たまたま調味料の分量を間違えてしまったぐらいでしょうか)感じですね(ひどい言い方でしょうかねえ?)
基本的には好きな作家なので、次の作品に期待したいです。そもそもけっこう古い作品だから、すでにこれを超えた作品をいっぱい出していますけどね。
今後ともどうぞよろしく。
投稿者 黒犬 : April 17, 2006 07:12 PM
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