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February 04, 2006

奥田英朗『ララピポ』○●

「ポンツーン」2000年11月号〜2005年8月号に不定期連載。春画をあしらったものすごい装幀。持ち歩きたい人は書店でカバーをかけてもらいましょう。「いや〜ん、お下劣」という帯の文句につい笑っちゃう奥田英朗の爆笑小説。
 対人恐怖症のフリーライター、ノーと言えないカラオケボックス店員、社会的地位に不満な官能小説家、デブ専裏ビデオ女優などなど「選りすぐりの負け犬」6人の生活を描く。6人はとても人には言えないような関係でつながっており、それぞれが各話に脇役として登場する、いわばリレー形式の作品。もうね、全員が全員ぜんぜんダメなわけです。そしてそのダメがダメを呼び、たいへんなことになっている。だけども、じゃあ「ダメじゃない人」ってどういう人だろうと考えると、人の話を聞かないイヤ〜なやつを思い浮かべてしまうなあ。本作は夜郎自大な現代人に投げかけられたアンチテーゼなのかもしれない。

★★★★☆(2005.10.5 白犬)


 2005.9.30初版。初出「ポンツーン」2000年11月号〜2005年8月号(不定期連載)。
 ユーモア小説といっていいのかどうか、とっても下品な連作短篇集。帯にも《紳士淑女のみなさまにはお薦めできません》とあるように、まじめな人は手を出さないほうが無難。書店で手に取ったら、とりあえずカバーをはずして表紙を見てみておくれ。それでダメかダメじゃないか判断してください(笑)。
 第1話の主人公(売れないフリーライター)の真上の部屋に住む男が、第2話の主人公となり、第2話に出てくる女が第3話では主人公となり……という、例のパターン。よくあるパターンなのだけれど、人によっては「それをやりたかっただけだろ」みたいなのもあるが(なにが悪いのか読んでいてもよくはわからないんだけど)、さすがにこの人はうまい。
 でもって徹底的に下品で救いがなくて、出てくる人間もろくでなしばかり。これがまた楽しい。
 ほんと、読者を選ぶよなあ。選ばれちゃったよなあ。喜ぶべきかどうか、わからんが。

★★★★(2005.10.13 黒犬)

幻冬舎 1500円 4-344-01051-5

posted by Kuro : 16:05

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