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January 29, 2006

高嶋哲夫『TSUNAMI 津波』●○

 2005.12.20初版。書き下ろし。
M8』につづく地震サスペンス第二弾。今度の地震は海から来る! 東海・東南海・南海大地震の発生による、史上最大の津波が日本を襲う。
 前作の三人――いずれも阪神淡路大震災で家族を失っている――は本作でも活躍する。地震学者瀬戸口は日本防災研究センター地震研究部部長、自衛官松浦は陸上自衛隊一等陸尉、河本亜紀子は防災担当副大臣として地歩を固めている。また、首都直下型の平成大震災(『M8』)のときの都知事漆原は副総理となっている。そんな彼らが、地震予知警報にどう対応するか。そして被災地となりうる地方自治体の防災課若手職員黒田はなにをすべきか。大災害が発生したとき、人間には何ができるのか。個人レベルの事件と国家をゆるがす大事件が並列に語られ、先が気になって一気読みしてしまった。
 おそらく執筆はヒューザー事件発覚以前であろうが、ビルの手抜き工事も出てきて、『M8』にくらべるとだいぶエンタテインメント性があがっているように感じた。映画にしても盛り上がりそうな展開。なかなか面白かった。
 それにしても、海辺には住みたくないなあ……。

★★★☆(2006.1.15 黒犬)


 東京を直撃する大地震を描いた『M8』の続編。東海・東南海・南海地震が続発、史上最大の大津波が太平洋沿岸を襲うという、おっそろしいシミュレーション小説。読後、ヘルメットとライフジャケットを買うことを本気で考えました。
 天災は忘れたころにやってくる。備えあれば憂いなし。わかっちゃいるが、とどのつまり「運」だと思う。そのときどこにいるか、何をしているか。ようは起こってしまってからどうするかだ。小説とはいえ、たとえば三つの海溝型地震が起こってわずか7時間後に、棺や遺体袋の備蓄量、また火葬場の火葬能力が問題になるシーンにははっとさせられる。りっぱなシステムはあっても機能するかどうかはまた別の問題。そういうところにこそ大切な税金を使っていただきたい。最新の研究、データをもとに大災害への警鐘を鳴らす問題作。1900円では安すぎ。

★★★★☆(2006.2.11 白犬)

集英社 1900円 4-08-775354-9


posted by Kuro : 13:57

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こんにちは。駄犬堂書店 : Weblog: 高嶋哲夫『TSUNAMI 津波』を楽しく読ませていただきました。高嶋哲夫、いいですね。 [Read more...]

トラックバック時刻: April 22, 2006 03:00 PM

comments

『TSUNAMI』の著者です。
以下の意図で書きました。
三月に、震災関係の総集編、『巨大地震の日』集英社新書が出ます。
高嶋哲夫
ーーーーーーーーーーーーーー
『M8』を書くときに意識を離れなかったのは、阪神・淡路大震災の犠牲者の家族、被災した人たちが読んで不快にならないこと。これは、僕にとっては最も大事なことであった。東京に大地震が起これば、こんなものではない。高層ビルは倒れる。死者の数が一桁違う。考え方が甘すぎる。様々な意見をいただいた。しかし、『M8』で使っている数字、被害状況にはすべて裏付けがある。政府の中央防災会議の発表をベースとして、地震の種類を考慮して、被害想定を行った。根拠のない、想像だけのものは書きたくなかったのだ。だが、書きながら実際に東京をM8クラスの地震が襲えばこんなものではないだろうという思いは常にあった。
『TSUNAMI』においては、そうしたことをすべて取り払った。といっても、可能な限りの資料は調べた。都市型災害には多くの複合的要素が混ざり合い、わずかなことでもとんでもない災害に発展することもある。それらは限りなく広がり、書き尽くすことなど到底できない。ここに書かれている状況は、起こりうる事態のほんの一部に違いない。そうであっても、いたずらに恐怖心を煽るだけと言う意見もあるとは思うが、これが日本列島が置かれている現実である。

投稿者 高嶋哲夫 : February 19, 2006 07:53 PM

高嶋哲夫さま。

……ってご本人!?
あやー、はじめましてどうもどうもこんなところにわざわざ来てくださってありがとうございました。汗。

恐怖心はイヤっちゅうほど煽っていいと思います。危機感、あまりにもなさすぎと思いますので。関東大震災があり、阪神淡路があり、中越があってもなおかつ、他人事と思ってしまうのが日本人の悪いところですし(いざとなれば行政がなんとかしてくれるとか、どこかで思ってるんでしょうね。東京が壊滅したら政府に頼ることもできないだろうに)。
帰宅マップばっかりが売れてもなー。
って関係ないですが、これからもお仕事がんばってください。

びっくりしたなーもう(←古)、

投稿者 黒犬 : February 19, 2006 09:53 PM

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