« 橋本治『橋本治という行き方 WHAT A WAY TO GO!』○ | Blog Top | hanae＊『小学生日記』● »
August 13, 2005
石田衣良『東京DOLL』●
2005.7.28初版。初出「小説現代」04年9月号〜05年2月号。
えーとこれは……。帯には、
著者4年ぶり待望の長編恋愛小説
と書いてあるので、恋愛小説なんでしょう。うん、たぶんそうだ。なんかすごいですよ講談社。力いれてます。このあと10月に『てのひらの迷宮』、来年1月に『40』を出し、3冊すべてを買って帯にあるマークを送ると1000人に“特製プレゼント”ですと。テレビにも出まくりの石田せんせい。イケメン作家とも呼ばれる衣良せんせい。どうしちゃったんでしょう。まあそんな周辺事情はどうでもいいや、問題は小説です。
天才的ゲームクリエイターＭＧ。富と名声は手に入れた。セックスの相性のいい女もいる。なにひとつ不自由はない。ただヒット作を作り続けてさえいれば。彼は、大ヒットしたゲームの続編作りのためのロケハン中に、理想のモデルを発見した。彼女の名はヨリ。奔放な彼女と出会い、ＭＧが少しずつ変わっていく……。
というような話。
いやあ、バブリーだなあ。住まいは港区海岸、会社は渋谷区松濤、車はレンジローバー、ジーンズは40年代のリーバイス501（でもそんな趣味はなくって、スタイリストに勧められたから買っただけ）、自宅のソファはル・コルビュジエで、オーディオはバング＆オルフセン、会社の調度は北欧家具……。ガジェットがちりばめられていてうんざりするぐらい。
ストーリーはシンプルで、恋愛パートは『プリティ・ウーマン』などの“仕事のために利用するだけのはずだった女にいつしか心が奪われて”系（しかし性描写は露出癖のあるカップルのレポートを読まされているよう）、企業買収パートは、仲間うちでチームを組んで開発したり亀裂が入ったり巨大な敵と対決したりするのは『アキハバラ＠ＤＥＥＰ』『4TEEN』（IWGPシリーズなんかもこの系列か）ほか著者のお得意なパターン。主人公をとりこにする少女は得体のしれない能力をもっていて、というのは『ブルータワー』の“あっち側”の女みたいな（というかこの人の描く女って、そういう《謎＋小悪魔＋率直》系か、男に都合のいい《なんでも許してくれて優しく包み込んでくれる母性愛過多お姉さん》系かが多いよね）。
まあそんなわけで、新鮮味が足りない。あまり魅力の感じられない一冊でした。
★★☆（2005.8.6 黒犬）
講談社 1600円 4-06-213002-5
posted by Kuro : 00:43
trackbacks
このエントリーのトラックバックURL:
http://dakendo.s26.xrea.com/blog/mt-tb.cgi/112
このリストは、次のエントリーを参照しています: 石田衣良『東京DOLL』●:
» 東京ＤＯＬＬ 石田衣良 講談社 from おいしい本箱Ｄiary
今日手に入れて、一気読み。一気に読める、ということは、面白い
ということですな。いや??、素敵なラブシーン満載のドキドキ小説でした。
青少年には刺激が強い？... [Read more...]
トラックバック時刻: August 13, 2005 11:59 PM
» 【小説】 東京DOLL／石田衣良 from 大阪生活、ときどき本。
東京DOLLposted with amazlet at 05.08.02石田 衣良 講談社 (2005/07/29)Amazon.co.jp で詳細を見る [Read more...]
トラックバック時刻: August 15, 2005 10:36 PM
» 東京DOLL from bozu blog
石田 衣良
東京DOLL
石田衣良の最新刊です。
エロいです(^^)
電車の中で読んでるとなんだか恥ずかしくなります。
要所要所に... [Read more...]
トラックバック時刻: August 15, 2005 11:50 PM
» 東京ＤＯＬＬ from わたしの見た（モノ）
石田 衣良
東京DOLL
「東京ＤＯＬＬ」
石田衣良の新作を読み終えたところ。
表紙モデルに香椎由宇を起用した本書は、
平積みしていて... [Read more...]
トラックバック時刻: August 19, 2005 09:04 PM
» 東京ＤＯＬＬ〜石田衣良〜 from ゴクラクＧＯ♪ＧＯ♪
石田衣良さんの最新作…
ですが、ゴクラク屋はあんまり好きじゃないです。
期待しすぎなんかしら、石田さんの作品はすごく好きやねんけどなぁ
もうなんていうか…... [Read more...]
トラックバック時刻: August 19, 2005 09:51 PM
» 『東京DOLL』 石田衣良 クールさと透明感 from コウの鑑賞人blog
石田衣良の最新刊『東京DOLL』。ＭＧ（マスター・オブ・ゲーム）と呼ばれる天才ゲームクリエイターと、背中に翼のタトゥを持つ少女ヨリ。 ＭＧは孤高の天才でゲームの... [Read more...]
トラックバック時刻: September 2, 2005 03:16 PM
» 2005/09/18 from m's box
『東京DOLL』（石田衣良著）を読んだ。
ドラマ「女系家族」にも出ていた、香椎由宇が表紙で、目を引いた。
が、内容は・・・・・・・・・・という感じ。
... [Read more...]
トラックバック時刻: September 20, 2005 02:20 PM
» 東京DOLL from spoon::blog
変化の街・東京で生まれた奇跡のような恋。 若き天才ゲーム制作者・相楽は、新作のモ... [Read more...]
トラックバック時刻: October 18, 2005 09:45 AM
» 東京DOLL from spoon::blog
変化の街・東京で生まれた奇跡のような恋。 若き天才ゲーム制作者・相楽は、新作のモ... [Read more...]
トラックバック時刻: October 26, 2005 12:56 AM
» 東京DOLL from 石田衣良の小説
Amazon.co.jp ウィジェット■東京DOLL (講談社文庫)
ゲームソフトのプロデューサーが、キャラクターのモデルとしてスカウトした女の子... [Read more...]
トラックバック時刻: February 20, 2010 03:58 PM
comments
ＴＢありがとうございます。
辛口批評カッコイイ。そんなプレゼント企画がある
なんて知らなかったですよ。う〜ん、テレビに出る
のは私はやめてほしいかも。テレビって、作家
というものの魅力を伝えられる場ではない、と思います。小説は好きなんですけどね。
ＴＢありがとうございます。
辛口批評カッコイイ。そんなプレゼント企画がある
なんて知らなかったですよ。う〜ん、テレビに出る
のは私はやめてほしいかも。テレビって、作家
というものの魅力を伝えられる場ではない、と思います。小説は好きなんですけどね。
投稿者 ERI : August 13, 2005 11:58 PM
ERIさま、コメントありがとうございました。
辛口、ですかねえ（笑）。好きな作家だからハードルというか要求が高くなってしまうんですね、きっと。
テレビもねえ、どうしたってプロのタレントさんやアナウンサーと比較すれば、喋りも落ちるわけで、やはり文章で勝負してほしいですね。最近は、テレビでみかけると、ちょっとつらくてチャンネル替えちゃったりして……。
今後ともどうぞよろしく。
投稿者 黒犬 : August 14, 2005 12:04 AM
ハローTB有難うございました。
わたくしも石田衣良大好きなんですが、この本はいまひとついただけませんでした。
でもまあこんな時もあるさ的に、今回は保留ってことで次回作に期待したい...
衣良にはとっても甘いわたくしなのでした。
にしても本タクサン読んでますね。
他のところもふむふむ言いながら読ませて頂きました。
投稿者 noppy : August 15, 2005 10:17 PM
ＴＢありがとうございます。こちらからもＴＢさせて
いただきました。
僕も以前は石田衣良がテレビに出ていると見てられなかったのですが、ちょっと前のブロードキャスターに
出ていたときのコメントを聞いてだいぶ慣れてきたのかな？と個人的には感じました。
投稿者 しゅん : August 15, 2005 10:40 PM
TBありがとうございます。
少女のイメージは僕も”あっち側”の女って
感じがしました（笑）
投稿者 bozu : August 16, 2005 12:11 AM
noppyさま、しゅんさま、bozuさま（まとめてですみません）
コメントありがとうございます。こんなに反応していただけるなんて、やはりイラっちは人気者ですねえ。
まあいろいろ文句も書きましたが、これも期待が高いがゆえということでどうぞご容赦を（笑）。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
投稿者 黒犬 : August 16, 2005 06:31 PM
初めまして、TBありがとうございます。
石田衣良さんも、イメージだということで表紙になった香椎由宇ちゃんも好きなだけに、ちょっとがっかりしてしまったお話でした。
でも、一気にがっついて読んじゃったあたり、文章は面白かったんだなぁーと思いました。
次回に期待！です。
投稿者 博士 : August 20, 2005 04:33 AM
博士さま。
コメントありがとうございます。
どうもこのところ「次回期待」が多いようなそんな石田衣良（笑）。あちこちで露出するのはいいんだけれど、新鮮な驚きが少なくなってきたような気がします。
けっして下手ではないし、ナウなヤングのライフスタイルを拾い上げる感覚はすぐれているのだとは思うのですが、もう一ひねり二ひねりほしいなあとか思っちゃいます。
それだけ期待が大きいってことなんですけどねえ……。
投稿者 黒犬 : September 12, 2005 11:16 PM
コメントをどうぞ。