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July 24, 2005

A・J・クィネル『燃える男』●

 A. J. クィネル氏が亡くなりました。というわけで、過去の感想を引っ張り出してきてみました。



 2000.4.25初版。そっちの業界(ってどっち?)では有名な作品らしいですが、はじめて読みました。新潮文庫でも出ており(いちばん最初は集英社文庫?)、とにかく20年ぐらいまえの本ですが、なぜか今ごろ新装版で出ましたので、読んでみました。ずっと覆面作家だったクィネルも素顔をさらし、カバー袖には気のよさそうなおっちゃん顔を出しています。新潮社から出ていたものも順次集英社文庫にうつるそうで、さらに新刊も集英社から出るらしい。
 さて、元傭兵のクリーシィはアル中となって昔のなかまのところにたどりつく。心配した彼は、クリーシィにボディガードの仕事をみつけてやる。護衛対象である少女とのあいだに友情がめばえるが……という、〈ただしい〉冒険小説のパターン。
 前半は、なかなかに力強く、また感情移入もしやすいのですが、後半のスーパーマンばりの活躍にはすこし辟易。また新装にともない改訳したらしいんだけど、どうにも翻訳が古くさく、会話なんかなんだか船戸与一を読んでいるような気分になってきてこまった。うーむ、欧米人が「知らぬが仏だ」っていうの、違和感。それに、延々と引用して枚数を稼いでいる伴野朗の解説はノー・サンキューですな。

★★★(2000.5.14 黒犬)

"Man On Fire" by A. J. Quinnell 大熊榮・訳 集英社/集英社文庫 4-08-760375-X

posted by Kuro : 23:48

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今日新聞を見ていたら、お悔やみ欄のところにA.J.クィネルの名前が出ていた。 [Read more...]

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