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July 11, 2005

角田光代『あしたはうんと遠くへいこう』●

 2005.2.25初版。単行本は01年9月マガジンハウス刊。
 1985年から2000年にかけての、あるひとりの女の恋愛クロニクル。時代じだいの音楽をBGMに(Enyaにハマってたりするのもそこはかとなくおかしい)。
 片思いの同級生にテープを作ってやったり、バンドをやってる男にひっかかったり、男友達のアパートを泊まり歩いたり(もちろんセックスもありだ)、別れた男に追い回されたり、不倫をしている友達につきあって逃避行したり、とにかくまあ、ダメな女である。音楽コラムを書いたりアイルランドに自転車旅行をしたりトライアスロンに挑戦したり、そういうのをどれか一つでもいいから極めれば、もうちょっとマシな人生っつうか生活ができるんじゃねえのかお前は、と説教したくなるような主人公である。
 まあ、ダメなやつはなにをやってもダメ、という言葉もあるが。
 現実にこういう友達がいたら、さぞかしイライラすることであろうなあ。もうちょっとしっかりせえよと。でもまあしょうがないか、お前はそういう人間だしな、とわかったようなわからんようなところで納得しちゃったりしそうでもある。俺もそんな偉そうなこと言えないし、と。そして面白みのない自分に落ち込んだりするんだな。くそう。
 ダメなやつはなにをやってもダメかもしれないが、ダメなりにがんばる(こともある)、というようなことでしょうか(たぶん全然違う)。

★★★(2005.7.7 黒犬)

角川書店/角川文庫 438円 4-04-372603-1

posted by Kuro : 00:51

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 4年前に読んだはずの角田光代著『あしたはうんと遠くへいこう』。内容をほとんど覚えていなかったので、文庫化された機会に再読してみた。どこにでもいるような、でもど... [Read more...]

トラックバック時刻: July 11, 2005 02:01 PM

comments

トラックバック、ありがとうございました。
主人公に説教したくなる気持ち、同感です。
でも憎めない…
このもどかしさと、切なさ、揺らぐ思いは、
きっと、自分の中にあるものだからなのかもしれません。
私からも、TBさせてください!

投稿者 ましろ : July 11, 2005 01:57 PM

ましろさま。

コメントありがとうございます。
そして、「説教したくなる」に同意してくださってありがとうございます(笑)。
……ねえ。まあ誰もがいずちゃんみたいな側面をもっている(あそこまで過激ではないにしても)からこそ、完全には突き放せないんでしょうね。
むしろ、いい子ぶってる人(意識的にか無意識にかはおいといて)のほうが突き放しやすかったりしますもん。ははは。

投稿者 黒犬 : July 12, 2005 12:45 AM

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