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July 12, 2005

小川洋子『偶然の祝福』○

博士の愛した数式』でブレイクする前の小川洋子の短篇集。物言わぬ乳飲み子と犬と暮らす小説家が、その孤独な日々のつれづれに思うことども。全7篇。全篇甲乙つけがたいが、犬好きとしては「涙腺水晶結石症」をあげておきたい。
 飼い犬のアポロが病気になる。ごはんも食べず、寝床に丸まったまま動こうとしない。そういう日にかぎって祝日で近くの動物病院はどこもお休み。小説家は息子のおむつを替え、ベビーカーにカバーをかぶせ、病気のアポロにリードを取り付け、降りしきる雨の中を隣町の病院へ向かう。このシチュエーションだけで泣きそうになる。
 476円はまったくもってお買い得。
 ちなみにアポロはラブラドール・レトリーバーです。

★★★★(2005.6.16 白犬)

角川書店/角川文庫 476円 4-04-341005-0

posted by Kuro : 00:09

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