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June 10, 2005
石田衣良『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークV』●○
2005.3.10初版。初出「オール讀物」。IWGPシリーズ、4篇収録の5冊目。
うーん、だんだんしんどくなってきたかなあ。
いや、まあいつも通りなんです。可もなく不可もなく。娯楽小説としてはよくできている。
誰かがトラブルに巻き込まれ、トラブルシューターであるところのマコトに助けを求めに来る。マコトは、トラブルの内容に応じてGボーイズかヤクザか警察かハッカーの助けを借りて、悪者をやっつけるというパターン。
とりあげるネタも、世間の話題から半歩ほど遅れて、ネット集団自殺とか、風俗スカウトの集団レイプ(スーパーフリーですな)とかだから、普段あんまり週刊誌やワイドショーを見てない人でもついていける。中国の劣悪な労働環境にある工場の摘発ってのもあります。社会派だなあ。
しかしだんだん読むのがしんどくなってくるんだよなあ。石田衣良の原点が、こういうお馴染みのシリーズものっていうだけで生き残っていくのはどうなんだろう。ここらで一気に誰か殺してみたら、とすら思う。傍観者のマコト、つねに誰かが助けてくれるマコトが、いつまでも街のヒーローをやってるのは、なんか違うんじゃないのかと。
★★★(2005.3.20 黒犬)
集団自殺阻止のために奔走する自殺遺児たちを描く表題作ほか全4篇収録。風俗の天才スカウトマン、伝説のロック歌手、中国人キャッチガールの仇討ちとバラエティに富んだテーマを据え、シリーズ第5弾とはいえ興味深く読んだ。今回はマコトの説教節もほどほどでよい。
しかしこのシリーズもだんだん(むかしの)水戸黄門じみてきましたな。トラブルシューターのマコトはさしづめ頼りになるうっかり八兵衛といったところか。助さん格さんや風車の弥七だとかの頼もしい味方はGボーイズの王様タカシと羽沢組系日高組のサル、ハッカーのゼロワン。かんじんの黄門は……池袋署の吉岡刑事でどうか。無理? かっかっかっかっ。たまには一人でなんとかしてみろやマコトよ。
★★★★(2005.3.21 白犬)
文藝春秋 1524円 4-16-323770-4
posted by Kuro : 00:22
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