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April 22, 2005

秋月高太郎『ありえない日本語』○

 現実を目の前にしながら「ありえない」と言えるのはなぜか? 「やばい」は肯定的に使っていいのか? ファミレスの「メニューお下げしてよろしかったでしょうか」は、どんな意味で丁寧なのか。不可解、乱れていると言われがちな現代日本語の諸相も、背後に潜む戦略と発想を読み解けば、その法則とメカニズムが見えてくる。
 自称「おたく言語学者」がネット上の書き込みや若い世代のメール、少年・少女漫画やヒットソングの歌詞などから現代の日本語を読み解いた本。
 著者が1963年生まれっていうのがわたし的にかなりヤバいわけです。だって中学時代の愛読書が『つらいぜ!ボクちゃん』『われらはみだしっこ』『おしゃべり階段』だっていうんだもん(男子校のくせに)。これだけでもう涙ちょちょぎれちゃうよ。
 しばしば本文に挿入されるのゴシック体や、少女漫画の一コマを用いた図版などから軽薄な印象を持つ人も多かろうが、どっこい現代日本語に広く深く踏み込みんだ内容。そして意外にも小心で、個性より和を重んじる今時の若者の姿をあぶり出している。お見事。

★★★★(2005.3.26 白犬)

筑摩書房/ちくま新書 720円 4-480-06224-6

posted by Kuro : 22:51

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