« 安野モヨコ『監督不行届』○ | Blog Top | 秋月高太郎『ありえない日本語』○ »

April 20, 2005

「本屋大賞2005」(本の雑誌増刊)●

 今年で第2回目となった本屋大賞の投票結果をまとめたムック。「このミス」なんかと似たような作りになっています。オフィシャルサイトはhttp://www.hontai.jp/。そちらをみればだいたいのことがわかりますが、ようするに書店員のかたがたが「この本を売りたい!」と思ったものを選んで投票するわけです。大賞決定までのプロセスはこんな感じ。

(1) 一次投票で一人3作品を選んで投票
(2) 一次投票の上位10作品をノミネート本として発表
(3) 二次投票はノミネート作品を読んだ上でベスト3を推薦理由とともに投票
(4) 二次投票の集計結果により大賞作品を決定

 で、授賞式の模様をみてもらえればわかるとおり、今年の大賞は恩田陸『夜のピクニック』(新潮社)なのでありました。ええと、今あわてて読んでます(笑)。だから、これが一等賞にふさわしいかどうかの判断は保留ね。
 けっこうおかしかったのが豊崎由美と大森望の対談「本屋大賞メッタ斬り!」(Excite Booksで読むことができます)かな(だけどこの対談の構成はヒドいと思う)。なんで飯嶋和一『黄金旅風』(小学館)がこないのかとか、なんですでに売れている『そのときは彼によろしく』みたいなものが票を集めるのかとか、去年が『博士』で今年が『ピクニック』じゃ意外性がなさすぎるとか、同意するところが多かったです。本田孝好『真夜中の五分前』の豊崎氏の評価が低いのはかなしいけど。

大森 (略)でも本屋大賞って「この一年で発表された日本の小説ならなんでも」っていう理想のレギュレーションなのに、実際のノミネート作品はもっと範囲が狭い。ノベルスや文庫は入らなくて、四六判文芸書ばっかり。読者を選ぶような本格ミステリとかSFとか純文学とかもはずれて、なんとなく似た感じの作品が集まってる。(Excite Books

 という発言もあるけれど、一次投票の上位30位をみても、“書店員といってもマニアックな読書家というわけではなく、ふつうの人たちなのだな”という感じ。あまり目立たない・売れてるという話はきかない本が4割、残りがほっといても売れる・すでに売れてるだろって本みたいな気がする。この割合が逆になるか、あるいは7:3ぐらいになればユニークな賞として評価できるんだがなあ。
 それから、匿名で投票するっていうのもよくわからんぞ。

(2005.4.20 黒犬)

本の雑誌社 552円 4-86011-043-9

2005年本屋大賞

posted by Kuro : 14:18

trackbacks

このエントリーのトラックバックURL:
http://dakendo.s26.xrea.com/blog/mt-tb.cgi/58

comments

コメントをどうぞ。




保存しますか?