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March 20, 2005

ニック・ホーンビィ『アバウト・ア・ボーイ』○

 ウィル・フリーマン、36歳。独身。無職だが亡父の印税収入で悠々自適。シングルマザーとの後腐れのない関係に味をしめたウィルは、シングルファザーになりすましてシングルペアレンツの会にもぐりこむ。その活動の一環として行われたピクニックで、ウィルは妙に大人びた縮れっ毛の少年に出会う。マーカス・ブルーワー、12歳。元ヒッピーで音楽セラピストのママは、調子がわるくて一緒に来られなかったという。仲間とともにマーカスを住まいに送り届けたウィルは、自殺をはかって倒れている母親を見つける。
 三十代のダメ男と少年の心温まる物語。マーカスは大好きなウィルとママをくっつけようと画策するが、二人の間には深くて長い溝がある。ウィルとの付き合いを禁じられたマーカスは、理屈っぽいママに言う。「僕には父親が必要なんだ」。ママは黙った。そして泣き出した。効果てきめん。だが、そう簡単に物事はすすまない。情けなくも愛すべき人々の悲喜劇。次作『いい人になる方法』(新潮文庫)と合わせてお買い得。

★★★★(2005.3.7 白犬)

"About A Boy" by Nick Hornby 森田義信・訳 新潮社/新潮文庫 705円 4-10-220213-7

posted by Kuro : 14:01

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