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March 20, 2005

ピーター・ラヴゼイ『死神の戯れ』○

 2002.1.20初版。イングランドの小さな村の教会にやってきた新任牧師オーティス・ジョイは、その美貌とたくみな説教でたちまち信徒をとりこにする。だが彼には恐るべきもう一つの顔があった。国教会の主教が自殺して間もなく教会の会計士が急死。やがて浮上する教会の使途不明金。町を侵蝕する悪夢に人々が気づいたときは――。
 ダイヤモンド警視シリーズで人気の著者が11年ぶりに発表したノン・シリーズ長篇。「不埒なサスペンス」という宣伝文句いい。金のためなら人殺しも厭わない極悪牧師の話だが、本人がひじょうに魅力的というか蠱惑的に描かれているために、尾をつかまれそうになるとつい応援してしまう。真相解明に奔走する勅許会計士やその協力者が、そろいもそろってやなヤツというというのも効果絶大である。これだけ手の内を明かしておきながら、最後まで読者を引きつけておくテクニックはベテランのなせる技。さすが英国ミステリ会の巨匠。880円はお買い得。

★★★★(2005.3.8 白犬)

"The Reaper" by Peter Lovesey 山本やよい・訳 早川書房/ハヤカワ文庫HM 880円 4-15-074718-0

posted by Kuro : 13:47

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