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November 17, 2007

井上荒野『ベーコン』○

 初出「小説すばる」2004年7月号〜2006年12月号。89年に『わたしのヌレエフ』で第1回フェミナ賞(フランスのじゃなくて日本のフェミナ賞)を受賞、児童書の翻訳家でもある著者の食と性愛にまつわる短編集。ちなみに荒野(あれの)は本名。戦後左翼文学の旗手と呼ばれた父、井上光晴(1992年没)の命名であるらしい。
 井上荒野の作品を読むのは初だが、なかなかよかった。父を亡くし、結婚が決まった主人公と、山でひとり養豚業をいとなむい亡き母の恋人との微妙な関係を描いた表題作「ベーコン」のほかでは、ひとりの男の死をめぐる女たちの邂逅をユーモラスに描いた「煮こごり」が印象に残った。

★★★★(2007.10.29 白犬)

集英社 1400円 978-4-08-774891-8

posted by Kuro : 16:51

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