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April 02, 2007

ピーター・ラヴゼイ『最期の声』○

 バース署犯罪捜査部のピーター・ダイヤモンド警視が逮捕したに有罪判決が下される。長年にわたり法の網の目をくぐり抜けてきた極悪人だっただけに、ダイヤモンドは大満足だった。だがその翌日、管轄内の公園で起きた射撃事件の現場で彼はわが目を疑う。至近距離から頭を撃ち抜かれて死亡したのは妻ステファニーだったのだ。ダイヤモンドは捜査を外され休暇を言い渡される。新たに組織されたチームは手順通り被害者の家を捜査し、夫のダイヤモンドに妻殺しの容疑をかける。単独での捜査を決意したダイヤモンドは、事件当日ステファニーが「T」と記される謎の人物と会う約束をしていたことを突き止める。
 ああ、なんてこと。帯もカバー裏の解説も読まずにブックカバーを装着して読み始めたためにショックは大きかった。事件後、休暇を命じる上司にダイヤモンドが「わたしの妻です。わたしの事件です」と訴えるシーンには胸を打たれる。読者を主人公に肩入れさせるのに、これ以上の状況はないと思われる。だが本作に浪花節的展開はありえない。新たな謎が謎を呼び、失意のピーターは果敢にも立ち向かって行くのである。衝撃のシリーズ7作目。一気読み必至。

★★★★★(2007.3.8 白犬)

"Diamond Dust" by Peter Lovesey 山本やよい・訳 早川書房/ハヤカワ文庫HM 1000円 978-4-15-074723-7

posted by Kuro : 00:32

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