« 竹内一郎『人は見た目が9割』○ | Blog Top | 『新潮45』2007年2月号○ »
January 29, 2007
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル 平山夢明短篇集』○
「このミス」2007年版でベテラン作家や人気作家をうち従わせての堂々の第1位。初出「井上雅彦監修〈異形コレクション〉」など。第59回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作ほか8編を収録。
「独白するユニバーサル横メルカトル」という癖になるタイトル(覚えたが最後、何度でも言いたくなる)の表題作は、本当にそのまんまなんです。語り手の〈私〉は、ユニバーサル横メルカトル図法による地形図197枚によって編纂された市街道路地図帖。「単なる地図でございます」などと謙遜しているが、ひじょうに勤勉かつ優秀である。そんな〈私〉が長年仕えてきた主人、個人タクシーのベテラン運転手が、ある日、愚劣きわまりない女性客を山中で殺害。道路地図上の死体を遺棄した場所に印をつける。その印はしだいに増えて行き、〈私〉は地図にしかできない方法でご主人様の手助けをする。奇抜な視点だけにおわらない予測不可能な展開。とてもおもしろく読んだ。評価が高いのにもうなづける。
んが。はっきり言って万人受けするのは、ぎりぎりこの表題作だけだろう。嗜虐、スカトロ、カニバリズム……苦手な人にはとうていおすすめできない。表題作以外では、「Ωの晩餐」「卵男」が印象に残った。
★★★★(2006.12.26 白犬)
光文社 1600円 4-334-92510-3
posted by Kuro : 00:03
trackbacks
このエントリーのトラックバックURL:
http://dakendo.s26.xrea.com/blog/mt-tb.cgi/299
このリストは、次のエントリーを参照しています: 平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル 平山夢明短篇集』○:
» 『独白するユニバーサル横メルカトル』 地図の独り言 from 粗製♪濫読
著者:平山夢明
書名:独白するユニバーサル横メルカトル
発行:光文社
衝撃度:★★★★★
「このミス2007」第1位に選ばれた短編集。
<・... [Read more...]
トラックバック時刻: February 25, 2007 01:28 AM
comments
コメントをどうぞ。