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January 29, 2007

平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル 平山夢明短篇集』○

「このミス」2007年版でベテラン作家や人気作家をうち従わせての堂々の第1位。初出「井上雅彦監修〈異形コレクション〉」など。第59回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作ほか8編を収録。
「独白するユニバーサル横メルカトル」という癖になるタイトル(覚えたが最後、何度でも言いたくなる)の表題作は、本当にそのまんまなんです。語り手の〈私〉は、ユニバーサル横メルカトル図法による地形図197枚によって編纂された市街道路地図帖。「単なる地図でございます」などと謙遜しているが、ひじょうに勤勉かつ優秀である。そんな〈私〉が長年仕えてきた主人、個人タクシーのベテラン運転手が、ある日、愚劣きわまりない女性客を山中で殺害。道路地図上の死体を遺棄した場所に印をつける。その印はしだいに増えて行き、〈私〉は地図にしかできない方法でご主人様の手助けをする。奇抜な視点だけにおわらない予測不可能な展開。とてもおもしろく読んだ。評価が高いのにもうなづける。
 んが。はっきり言って万人受けするのは、ぎりぎりこの表題作だけだろう。嗜虐、スカトロ、カニバリズム……苦手な人にはとうていおすすめできない。表題作以外では、「Ωの晩餐」「卵男」が印象に残った。

★★★★(2006.12.26 白犬)

光文社 1600円 4-334-92510-3


posted by Kuro : 00:03

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