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December 11, 2006

町田康『パンク侍、斬られて候』●

 2006.10.25初版。単行本は2004年3月マガジンハウス刊。
 時代小説である。舞台は江戸時代である。「ええじゃないか」みたいなあやしげな「腹ふり党」が跋扈する時代である。牢人とか家老とか密偵とかも出てくる。しかし普通の時代小説ではない。いっぷう変わっている。いや、かなり、変わっている。むしろものすごく変わっている。はっきりいってしまえば変であり、同時にむちゃくちゃでもある。むちゃくちゃというよりバカといったほうがいいかもしれない。
 しかしこの作品には深い意味が隠されている。などと深読みしてみると、小説としての側面以外にも楽しめる部分があるともいえる、ような気がしないでもない。
 もちろんそんなことを考えずに、作品単体で読んでおもしろがれればそれで充分なのだが、もしもあなたが、あらゆることにはちゃんと意味があって、読書するにしても一冊たりとて無駄なものがあってはいけないという信仰の持ち主であるならば、なんらかの示唆を得るということで納得できる――かもしれない(ほんとかよ)。たとえば次のような一節を読んだときに。

 声をかけながら内藤は、このような形で会議を開けと言った直仁は筋が通っているし正しい。しかし筋が通って正しいことがときとしてもっとも厄介で事態の混乱を招くのだ、と思っていた。(p.273)

 ね、なんだか警句っぽいでしょ?(笑)

★★★★☆(2006.12.1 黒犬)

角川書店/角川文庫 629円 4-04-377703-5

posted by Kuro : 00:26

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