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July 30, 2006

福井晴敏『Op.ローズダスト(上・下)』○

 2006年秋。ネット財閥と呼ばれる企業グループを標的とするテロが続発。公安は北朝鮮工作員の犯行と断定、「ローズダスト」と名乗る5人のテロリストを追いはじめる。
「週刊文春」2003年5月〜2004年12月まで連載分を大幅に改稿、新たに800枚(!)を書き下ろしたというスペクタクル・サスペンス。重装備のSATが走り回る上空で陸自の攻撃ヘリ・コブラがバカスカ撃ち落とされ、果てには海自のイージス艦がハープーン艦対艦ミサイルをぶっ放すという大戦闘の舞台はお台場。「レインボーブリッジ閉鎖できませ〜ん!」という人気映画をはるかにしのぐ凄まじさ。
 まずは警察、防衛庁方面の組織や、その命令系統、そして内部事情にくわえ、最先端の武器・兵器・戦闘員の装備などなどに関する膨大な書き込みに圧倒されてぼーっとしてしまうが、あまり気にしないでどしどし読み進もう。特殊部隊オタクや軍事マニアでなくてももだいじょうぶ。いささか特殊ではあるが、各パートの人間ドラマもきっちりと描かれている。終盤、防衛庁情報局員の丹原朋希が、思い出の子犬たちに導かれて危機を脱するシーンには思わずほろりとさせられた。買って損なし保証。

★★★★☆(2006.5.2 白犬)

文藝春秋 上・下各1800円 4-16-324500-64-16-324510-3

posted by Kuro : 00:41

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