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July 07, 2006

古川日出男『ルート350』○

 初出「小説現代」「SFJapan」など。快進撃を続ける古川日出男の短編集。表題作ほか8篇を収録。
「僕としては初めてのストレートな短編集」なのだが、「僕は一冊の本としての勁さを備えさせるために」オリジナルの原稿に手を入れた。しかし「それ以前に、全八編に通底するモチーフがすでにオリジナルの局面(つまり初出時)に現れていて」われながら驚いた、と補記でにある。はは。キミもけっこうクドいね。残念ながら〈ストレートな短編集〉として楽しく読んじゃいましたよわたしは。
 隣接する3軒の家に住む3人の少女が、お互いの複雑な家族関係のなかで独特の世界を築く「お前のことは忘れていないよバッハ」と、離婚休暇中の男の〈橋〉をめぐる旅をえがく「飲み物はいるかい」が好きです。

★★★★☆(2006.6.11 白犬)

講談社 1500円 4-06-213391-1

posted by Kuro : 22:13

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comments

こんばんは。
「飲み物はいるかい」わたしも面白く読みました!
“キミもけっこうクドいね”には、同感です。

投稿者 ましろ : July 19, 2006 07:22 PM

ましろさん。コメントありがとうございます。
古川作品は『ベルカ〜』以来、欠かさず読んでいます。形式にはこだわらないというか、形式を跳び越えた独特の世界観が好きなので、ああクドクド解説されてはね。そういうところが可愛らしくもあるんですが。次作期待です。

投稿者 白犬 : July 20, 2006 01:59 AM

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