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July 01, 2006

金井美恵子『「競争相手は馬鹿ばかり」の世界へようこそ』○

 金井美恵子のエッセイ集。初出「ユリイカ」「オール讀物」「文藝」、かわったところで「現代林業」などなど。表題は、1925年、やがてトーキー最盛期を迎えるハリウッドからシナリオライターのマンキウィッツがニューヨークのジャーナリストに打った電報「数百万ドルがここから掘り出せる。しかも競争相手は馬鹿ばかりだ」より。今回はとくに「メディアの中で「女であること」は男に馬鹿にされることである」の、男性批評家たちの悪口にはシビれた。

 眼ざめれば、新しい一日がはじまっていて、活力に満ちあふれているというわけではないし、退屈で、苛立たしくも腹立たしい事態に直面したりするのですが、それでも、なんらかの刺激的な出来事がないこともないのですし、そのなかには、生きているよろこびを全身的なものとして体験する瞬間もあります。(「あとがき」p.363より)

 まことにその通りでございます。読み応えあり。

★★★★☆(2004.1.6 白犬)

講談社 1800円 4-06-212077-1

posted by Kuro : 13:44

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