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April 15, 2006

速水敏彦『他人を見下す若者たち』○

 話題の新書。売れてます。タイトルからして優れている。たとえば新書らしく「仮想的有能感」などとしたらこれほど売れなかっただろう。さらに石原まこちんのファミレスまんが「THE 3名様」を使った幅広帯は抜群と言っていい。だが、このぱっと見のやわらかさに反して内容はかたい。大まじめである。このテーマについては「心理学会で十分に認められたものとは言えず、実証的研究も始まったばかり」で「先行研究のないやや無謀な試み」だと著者自身が巻末で述べているが、ひじょうに興味深く読んだ。
 さて、本書ではひとくくりに「若者」として、とくに男女差については明確に述べられていない。第六章「自分に満足できる人・できない人」に、「仮想的有能感はむしろ男性で高いことがこれまでにわかっており」(p.172)とあるくらいか。だけども文中の実例から受ける印象はすべて「男(または男の子)」だし、わたしの身辺にも女の「何様」より、男の「俺様」が多いような気がする。日本の将来のためにも、さらなる研究結果を待ちたい。

★★★★☆(2006.4.7 白犬)

講談社/講談社現代新書 720円 4-06-149827-4

posted by Kuro : 14:22

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