« 桂望実『県庁の星』○● | Blog Top | 感想追加 »

October 27, 2005

ディーン・クーンツ『サイレント・アイズ』(上・下)○

 一瞬の衝動にかられ、愛する妻を山の展望台から墜落死させたジュニア。不幸な事故で父を失いながらも母アグネスの愛情につつまれて育つ神童バーティ。いまわしいレイプの結果、この世に生を受けたエンジェル。見えざる手によってたぐり寄せられる三人の運命の糸。バーソロミューとはいったい誰なのか。強烈な自己愛から邪悪な殺人鬼と化したジュニアは町を捨て、あてどのない旅に出る。
 上下巻合わせて約1200ページのノンストップ・サスペンス。読み終えたころには夜も白々と明けておりました。ストーリー展開もさることながら、すべての登場人物が粒だっていて、流し読み斜め読み困難。まさになめるように読ませる。
 キャラクターの吸引力では殺人鬼ジュニアがダントツであろう。美貌でうぬぼれが強く、だけどもサイコ野郎にありがちなスーパーマンではない。むしろ滑稽なくらいのドジなのだが、そのかわりにやたらと運がいい。脇役ではなんといっても刑事バナディアム。双子の兄弟エドムとジェイコブもはずせない。上下巻のボリュームにひるまず、ぜひ。講談社文庫は字が大きくて読みやすいですよ。

★★★★☆(2005.9.6 白犬)

"From the Corner of His Eye" by Dean R. Koontz 田中一江・訳 講談社/講談社文庫
上・下各1048円 4-06-275143-74-06-275144-5

posted by Kuro : 12:59

trackbacks

このエントリーのトラックバックURL:
http://dakendo.s26.xrea.com/blog/mt-tb.cgi/126

このリストは、次のエントリーを参照しています: ディーン・クーンツ『サイレント・アイズ』(上・下)○:

» 『サイレント・アイズ』の話。 from 『とかげの月』/徒然
「そしてたぶん」アグネスが、考え考えいった。「その数多い枝のすべてが死んだとき、 [Read more...]

トラックバック時刻: October 28, 2005 09:13 PM

» プラダ メンズ from プラダ メンズ
駄犬堂書店 : Weblog: ディーン・クーンツ『サイレント・アイズ』(上・下)○ [Read more...]

トラックバック時刻: July 13, 2013 06:06 PM

comments

コメントをどうぞ。




保存しますか?