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September 18, 2005
藤原咲子『父への恋文 新田次郎の娘に生まれて』○
没後二十年。はじめてつづられたベストセラー作家の素顔と家族の群像。
著者は新田次郎の娘。藤原てい著『流れる星は生きている』で、母の背負うリュックサックのなかで壮絶な十ヶ月を過ごした咲子ちゃんである。『流れる星は生きている』をめぐる母と娘の葛藤については、本書の続編『母への詫び状』にくわしい。
新田次郎というと、どうしても山のイメージがついてまわるせいか、体格のいい気むずかしい人物を思い浮かべてしまうが、娘の目を通して描かれる新田次郎は、思わず拍子抜けしてしまうほどいいお父さんだった。書いた本人がファザコン全開ということもあるんだろうけど。
本書は周囲の人にすすめられて書かれたものではない。10歳のときに、『強力伝』で第34回直木賞を受賞した父に、「チャキ、お父さんが死んだらね、作家新田次郎はこんなふうにして書斎で原稿を書いていたっていうこと、ちゃんと覚えていて、しっかり作品に残すのだよ」と書斎で言われた、その約束を守ったものである。『母への詫び状』にくらべれば、ずいぶん気楽に読むことができた。
★★★★(2005.8.30 白犬)
山と渓谷社 1400円 4-635-17159-0
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posted by Kuro : 00:59
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