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May 22, 2005
恩田陸『酩酊混乱紀行 『恐怖の報酬』日記 イギリス・アイルランド』●○
2005.4.25初版。初出「IN☆POCKET」04年1月号〜10月号。うわ、タイトル長すぎ。トップページだと1行に収まらんではないか。
恩田陸初のエッセイ集は、イギリスとアイルランドへの旅がテーマだった。それだけなら驚くこともないのだが(イギリス・アイルランドって《いかにも》って感じだし、これがハワイだのフロリダのディズニーワールドできゃーみたいなネタならびっくりだけどね)、なにしろこの人、《飛行機が怖い》。過去に乗ったのは国内線のただ一度のみ。当然海外旅行経験もなし。そんな恩田陸が、編集者のつきそい付きとはいえ、長時間のフライトと異国の地での名所巡りパブ巡りを無事に切り抜けられるのかどうか。
結論から言やあ当然《なんとか》なるわけですが、なにしろとっかかりが「どの本を持っていくか」とか「スーツケースを買う」とかそういうことから始まるのである。飛行機恐怖症の話では『のだめカンタービレ』の千秋に感情移入してしまうのである。いや、「どの本を持っていくか」はじつに重要なので共感できるんですがね。しかしこの調子で進んでいって大丈夫なのか……という心配は杞憂に終わり、快調に旅は進む。実際に進んだかどうかは問題ではなく(なにしろイギリスに到着するのは、このエッセイの三分の一がすぎたところあたり)、ようするにやはりこの人は《お話がうまい》のである。
本の話、音楽の話、食事の話、酒の話、映画の話、名所の話……と、話題は縦横無尽にあっちこっちに飛ぶのだが、それがとっ散らかった印象を与えない。どこかに興味をひくポイントがあり、「おお、俺もみたよ『リトル・ヴォイス』」「おー、いいなあやっぱり本場のアイリッシュ・パブは」「そうなんだよ極端な禁×活動なんてもう××××だよよくいってくれた」とか思ってしまうのである。
まあそんなわけで、とりあえずはアイリッシュ・パブに行きたいぞという気分が盛り上がるのであった。
しかし、この装幀、どうなんだろう(「地球の歩き方」シリーズそっくり。興味のあるかたは下のアマゾンへのリンクをクリックすると書影を見ることができます)。瞬間的なウケ狙いとしてはおもしろいのだけど、ここまでやられるとちょっと、なあ。
★★★(2005.5.16 黒犬)
装幀が『地球の歩き方』そっくり。いいのかこんなことして。はは
初出「IN POCKET」2004年1月号〜10月号。『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞と第2回本屋大賞を受賞した恩田陸の受賞後第一作にして初のエッセイ集。
女性編集者といっしょに行ったイギリスとアイルランドの旅全記録である。さぞかし優雅な旅日記であろうと思いきや、この人、飛行機がこわくてこれまで国内線(羽田―福岡)に一回しか乗ったことがないというんですね。とうぜん海外旅行は初。そんなわけでスーツケースを買ったり、持って行く本を選ぶところから始まるわけです。どんな旅になったのかは読んでのお楽しみ。ちなみに、小説家で読書家の著者が厳選した機内本は次の3冊。さすがである。
- 『私のワインは体から出て来るの』(宮藤官九郎/学習研究社)
- 『短歌はプロに訊け!』(穂村弘・東直子・沢田安彦/本の雑誌社)
- 『骨の袋
』上・下(スティーヴン・キング/新潮文庫)
★★★(2005.5.28 白犬)
講談社 1400円 4-06-212763-6
posted by Kuro : 23:38
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