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May 21, 2005

斎藤美奈子『モダンガール論』○●

 女の子には出世の道が二つある! 社長になるか社長夫人になるか、キャリアウーマンか専業主婦か。職業的な達成と家庭の幸せの間で揺れ動いた明治・大正・昭和の「モダンガール」たちは、20世紀の百年をどう生きたか。近代女性の生き方を欲望史観で読み解き、21世紀の女の子の生き方をさぐる。初出「鳩よ!」1998年12月号〜2000年2月号連載を大幅加筆・修正。
 21世紀の女の子の生き方をさぐる、という部分にはあまり期待しないほうがいい。明治時代からこんにちまでの女性の社会的ポジションを資料、文献などから例を引いて解説した本。いつもながら、著者の引用のセンスはすばらしい。とくに『農村婦人問題』を取り上げた第2章「貧乏なんて大嫌い」を興味深く読んだ。

★★★★(2004.2.6 白犬)


 2003.12.10初版。初出「鳩よ!」98年12月号〜00年2月号。単行本は『モダンガール論 女の子には出世の道が二つある』として00年12月マガジンハウスより刊行。
 帯には、

女の子だって「出世」したい!
欲望史観で読み解く百年史

 とある。女子にとって、社長になるか社長夫人になるかという、「出世」のふたつの選択肢のどちらを選ぶかという問題が、明治以降永遠のテーマになっているのだと著者はいう。
 その「出世」(自由化――男の庇護下/支配下からの、といってもいいか)への道はどのようになされてきたか。それに対する「反動」「攻撃」はどのようなものであったか(コギャルがバッシングされた百年前、明治時代には女学生が同じようにバッシングされていたのである)。
 明治大正昭和の文献(女性向け雑誌とか)を紹介しつつ、その時代の女性をとりまく状況がわかりやすく解説されている。かたくるしい女性論と思うなかれ。飽きずに読ませるテクニックはさすが。読み終えると、はてさて人類というものは(というのは大げさか。日本人というのは)進化してるんだかしてないんだかといろいろ考えさせられるのでありました。意外な掘り出し物。

★★★★(2005.5.8 黒犬)

文藝春秋/文春文庫 657円 4-16-765687-6

posted by Kuro : 23:42

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