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May 11, 2005

加治将一『借金狩り』○

新潮ケータイ文庫」2003年10月7日〜2004年6月1日連載に加筆。「切実きわまる53万アクセス超を記録!」と帯にある。
『借金消滅』『借金狩り』などのベストセラー作品を持つ作家の岸谷真司に、担当編集者からとんでもないメールが届く。東京地裁から印税の差し押さえ命令が来たというのだ。同様の通知がほかの出版社にも送られており、総額は1760万円。岸谷は裁判が開かれたことも、原告の名前にもまったく心当たりがない。なんだこれは! ありえない――進退窮まった岸谷は、究極の起死回生作戦に打って出る。「仮差し押さえ返し」だ!
 ベストセラー『企業再生屋が書いた 借りたカネは返すな!』(アスキーコミュニケーションズ)の著者が、みずからの体験をもとに描いた迫真のマネーサスペンス。

 つばめ返しでも俵返しでもなく「仮差し押さえ返し」ですから。世の中には知らないことがまだまだたくさんあります。
 主人公の岸谷はいわばその道のプロでもあるので放っておいても安心。むしろ並行して語られる一家の事件を興味深く読んだ。ふつうのサラリーマンが、会社を経営する親類の根保証をしたために1億3千万円もの保証債務を抱えてしまうのである! 両親は自殺、美容師の長女は知識不足から負債もろとも相続してしまう。悲惨の極みである。追い詰められた長女がすがった相手は主人公の岸谷先生。どうなったかは読んでのお楽しみ。

★★★★(2005.4.13 白犬)

新潮社 1600円 4-10-414606-4

posted by Kuro : 02:28

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