« 草薙厚子『子どもが壊れる家』○ | Blog Top | 感想追加 »

December 11, 2005

美濃部美津子『三人噺 志ん生・馬生・志ん朝』●

 2005.11.10初版、単行本は2002年10月扶桑社刊。なんで扶桑社から? というのは「あとがき」を読むとわかります。
 著者は五代目古今亭志ん生の長女。長子なので、十代目金原亭馬生・三代目古今亭志ん朝のお姉さんにあたります。1924年の生まれで今は81歳。貧乏落語家の4人の子供の長姉として、母親を助け、妹弟たちの面倒をみてきた半生記。
 聞き書きなのですが変にちゃんとした文章にはせず、語り口調そのままにつづられています。普通だとそれが読みづらかったりもするのですが、この本についていえば案外違和感がありません。下町のおばあちゃんが思い出話をしているという風情が、感じよく出ているかと思います。
 貧困や戦争、芸人としての父親や弟たちの観察など、落語家一家の内側にいるものでなければわからない話もたくさん出てきます。もちろん昔のことですし、多分に美化されているとも思われますが、そりゃ仕方ありますまい。ご本人ももういいお歳なんですし。

 最近、父の落語のテープを聞くたびに、「ああ、やっぱりお父さんは話がうまいなあ」と、声に出してしまうんです。娘の私がいうのもなんだけど、そろそろ、身内が褒めてもいいですよねえ。(p.195「文庫版あとがき」)

 いいと思います。

★★★(2005.12.08 黒犬)

文藝春秋/文春文庫 505円 4-16-767966-3

posted by Kuro : 15:17

trackbacks

このエントリーのトラックバックURL:
http://dakendo.s26.xrea.com/blog/mt-tb.cgi/146

comments

TBありがとうございます。
私も「いいと思います」(笑)
話言葉がとっても読みやすかったのが、印象に残っている一冊ですね。

投稿者 景牙 : December 12, 2005 12:41 PM

景牙さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
ほんと、まるっきり話言葉なのにすごく読みやすいのが不思議でしたね。
元気がよくて、歯切れもよく、上品ぶっているわけじゃないし、下品にもなっていない。
なんともいい加減(テキトーではなく加減が良いほう)なおしゃべりでした。落語のなかの登場人物みたいで。
今後ともどうぞよろしく。

投稿者 黒犬 : December 12, 2005 01:15 PM

コメントをどうぞ。




保存しますか?